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Doll Master 第1話
飯場正臣

「最も効率が良いかけ方は周囲が見えず、振り子のみを対象が見ている状態」

 なるほどな。
 だがそもそも注視させる方法が難しい。
 どうすれば良いか・・・。
 まあいい。
 対象がどう思おうといずれは墜ちるんだ。
 車の中で男が声もなく笑みを浮かべた。


 *****


「ち、ちょっとやめてください」

 美沙は小さな声で言った。
 後ろからいきなり男に抱きつかれたのだ。
 首と腰に男の太い腕が回されている。

 仕事帰りの、もう日も暮れようかという夕方と夜の境目。
 仕事に疲れ、とぼとぼと帰路についていた矢先、いつもの通勤路である人気のない路地に入ると、すぐに後ろから抱きつかれたのだ。
 最初は驚いて声も出ず、何が起きたのかわからなかった。
 誰もいない、暗くなりかかった路地で、男は美沙の耳元に囁いた。

「ブログ読んでるぜ・・・」

 それで我に返ったのだ。
 身じろぎしたが、男の力は強く、まったく逃げられなかった。
 腰に回していた男の手が美沙の胸まで登ってきた。
 左手で右の胸を強く揉みしだかれる。

「いっ!」

 力任せに揉んでくるので痛みしか感じなかった。

「逃げるな。そうすれば優しくしてやるよ」

 顔の見えない相手からそう言われ、美沙は痛みから逃れたいばかりに、逃げようとして力んでいた身体の力を抜いた。
 男の手は胸全体を揉み回すようになり、ブラの上から乳首も刺激するようになった。
 やっと愛撫するような力加減になったものの、美沙は恐ろしくて仕方がなかった。
 レイプするなら、車で連れ去るなり、公園のトイレなりに連れ込めばいい。
 この男は人気がないとはいえ、路上で何をしようというのか。
 美沙はもう一度言った。

「やめて下さい」

 男は美沙の耳たぶを口に含み、耳の中に舌を入れてきた。

「く・・・んん・・・」

 くすぐったさと背中を走るぞくぞくとした感覚が美沙の身体の力をさらに抜けさせた。
 ひとしきり右耳をなめ回した男は再び囁いた。

「お前はこうされるのが好きなんだろ? いやらしいブログを書いて、いつも想像の中で犯されまくってるんだ。お前はこうされるのを望んでたんだ」

 男は右手で美沙のあごを押さえ、左手で巧みに胸への愛撫を繰り返した。
 顔の右から頬にキスしてきたり、耳を舐めしゃぶったりと、ここが路上でなければ普通の愛撫になっている。
 ぴったり密着する男の股間が固くなり、美沙の尻に押しつけてくる。

「お前が欲しくてたまんねえよ、美沙・・・。ほら、こんなになってんだ。ブログみたいにお前のご主人様になりてえんだよ」

 男は息が荒くなり、美沙の尻に股間をこすりつける。
 美沙は感じ始めていた。
 恐ろしさはあったが、ブログ読者であることがわかり、恐怖でさえもが快感に変わり始めていた。
 なにより、胸への愛撫と耳の中をなめ回される感触が、美沙の秘部を潤わせていた。

「美沙、やめてほしいか?」

 男が突然、動きを止めて聞いてきた。

「・・・・・・」

 気持ちよくなり始めていた美沙は、あやうく快感に流されそうになっていた自分を取り戻した。
 ブログ読者というだけで、知らない男にこんな場所で触られ続けるのは気味が悪い。

「・・・・・・やめて下さい」

 か細い声で答える美沙に、男は小声で言った。

「お前の住所はもう知ってる。明日はスカートで出勤しろ。ズボンじゃ美沙の尻の感触を楽しめねえ。いいな?」

 男はまた首に腕を回し、少し力を入れてきた。
 苦しさが恐怖となり、美沙はおとなしく頷いた。
 もうこの道を通らなければいいだけだ。
 解放されたらまっすぐに警察に行って保護を求めよう。
 そう思い、もう一度頷いた。

「ふん、お前の考えてることはわかるぜ。だが、お前は明日も必ずここを通る。通報もせず、俺に抱きつかれに来ることになるんだ。自ら望んでな」

 美沙は見透かされてることに驚いた。

「家に帰ったらぐしょぬれのパンツを見てみろ。お前がどれだけ俺を望んでいるのかがわかる・・・」

 言われて美沙は、はっとした。
 たしかに濡れてしまった。
 そして、我に返ったとき、男はいなくなっていた。
 美沙は呼吸を整え、今し方の恐ろしさを思い出さないように再び帰路についた。
 警察へは寄らずに。


第2話に続く

2010/06/14 初版
2010/08/11 『ノクターンノベルズ』に転載
2010/08/12 第二版

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