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Doll Master2 〜2人目〜 第8話
飯場正臣

 ミサはスカートを捲ったまま、ついに泣き出した。
 これには男も狼狽した。

“イジメ過ぎたか?”

 美人妻が、あまりにも釣り合わないデブの自分にいいようにされている。
 ポロポロと涙を流している姿を見て、男は己の行動の罪深さに気が付いた。
 エロゲーのようには振る舞えない。
 美しさと可愛さを兼ね備えた人妻は、日々を懸命に送っているのだろう。
 催眠を解き、身体の自由を取り戻させた。

“店に戻って通報するなり、逃げるなりすればいい”

 そう思ったのだが、ミサは動かなかった。
 身なりを整えると、自分の境遇を語り出したのだ。

 とつとつと、そして、これまで鬱積していたものを吐き出すように、静かではあったが、一気に話しているミサ。

 夜の生活に不満がある事まで全て話し終え、レディコミのキャラクターに自分を当てはめては、ドキドキしながら読んでいた事まで告白した。

 間抜けな光景だ。
 男は思った。
 光量を落としてある男性用トイレの個室で、ミサは立ったまま、男は便座に座ったまま。
 かたや、まくし立てるように話し、かたや頷きながら聞いている。
 確かにトイレにしては妙な光景だった。

 ミサも自分の行動に驚いていた。
 相手は明らかに催眠術を悪用している強姦未遂の男。
 旦那も大した外見をしていないが、この男はもっと劣っていた。
 理知的な目をしている以外は。

 しかし、黙って自分の話を聞いてくれた。
 たいていの女性はそうだろうが、アドバイスなど求めてはいないのだ。
 ただ、話しを聞いてくれればいい。
 偉そうに結論を導き出したり、アドバイスをしたがる男も面倒だが、それでも、最初から話しを聞いてくれない旦那よりはマシだ。

 沈黙が流れた。

「店に戻るなり、警察に駆け込むなり自由にして下さい」
「グチは終わりです。好きにして下さい」

 同時に口を開いた2人は顔を見合わせた。
 改めて色事に耽る雰囲気ではなくなっていた。


第9話に続く

2013/01/22 初版

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