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Doll Master2 〜2人目〜 第9話
飯場正臣

 男はトイレの鍵を開けながら、メアドを教えて欲しいと言った。
 ミサにしてみれば、近年、まれに見る恐怖体験だったが、本当のアドレスを教えてしまった。
 咄嗟に言われると、すぐにはでたらめなアドレスやフリーアドレスは出てこないものらしい。
 男はミサを半ば押し出すようにトイレから出た。
 ワケが分からないという表情のまま、ミサも出る。

 男は店に戻り、ミサがブースに入って行くのを見ながらも、レディコミが置いてあるコーナーに行った。
 表紙の見分けはほとんどつかなかったが、ネカフェは読んだ本を拭くため、本棚に戻さず、返却コーナーがある。
 そこには女が読んでいたであろうマンガがあった。
 他にレディコミはなかった。

 気恥ずかしさもあり、手に取るとすぐさま、自分のブースに入って読み始めた。

“ブサイクなデブの出てくる話はないか”

 パラパラめくっていると、ちょうど当てはまるマンガがあった。
 そのキャラクターは金満家の性格破綻者というどうしようもない人物で、落ちぶれた良家の女性に札束を握らせては、性欲の捌け口にしていた。
 餌食になる女性は様々なプレイの果てに何度か精液をかけられるのだが、最終的に「顔にかけるから」と言われて、生での挿入を強要され、けっきょくはそのまま中出しされるという内容。

 どちらかと言えば、濡れ場は少なく、心理描写やバックグラウンドに重きを置いているようで、男が読むには理屈っぽい印象があった。
 視覚から本能を揺さぶられる男性が読むには物足りないのだろう。
 それが証拠にまったく勃起しなかった。

 一通り読み終わった男は、カウンターに免許証を預けてネカフェを出た。
 退店ではなく外出。
 自分の身元を店に晒してでも、やっておきたい事があったのだ。

 男は真っ直ぐにコンビニへ向かった。


 *****


 コンビニのATMで、アパートの家賃を支払う為に銀行へ預けていたお金を引き出す。
 光熱費や諸々の生活費を含めてちょうど10万円。

 ついさっき株取引で稼いだ額とほぼ一緒だった。
 証券口座にある資金はすぐに現金化しようとしても、手続きに数日かかる。

 男は今すぐに現金が欲しかった。
 家賃などの出費に掛かる費用の方は、あとで証券口座から出金手続きすればいい。
 かなりの冒険ではあるが、レディコミにあった内容のまま、ミサに接したいという思いが強くなっていた。

 ネカフェに戻りながら、ミサの携帯にメールを打つ。

<まだ店にいるなら、トイレに行って下さい>

 しばらく道を歩いたが、ミサからの返信はなかった。


第10話に続く

2013/02/05 初版

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