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Doll Master 2.5 〜その後〜 第17話
飯場 正臣 feat.大和武尊

<1週間前>



「ずいぶんさっぱりと片付けて下さったんですね」

 そのアパートは引っ越し屋が驚くほど、荷物が少なかった。
 別に片付けたわけではない。
 元々、物が少ないのだ。

 住人はまともな生活をしていなかった。
 最も重要視しているのはデスクトップパソコンが2台。
 ディスプレイが4台。
 外付けハードディスクが11基。
 長年、続けてきた研究の成果は全てこれらの中に入っている。

 男はその大切な機器が、大した重量ではなかったこともあり、自分で運び込んでいた。
 新しく買った車はミニバンで、走行距離が20万kmを超えていた軽自動車は売った。
 わずかな額にしかならなかったので、売却ではなく、引き取ってもらった事にして、車の販売業者にあげてしまった。
 サービスは途端に良くなり、車庫証明などの各種登録代行はもちろん、国内だというのにキャリアカーで陸送までしてくれたのには驚いた。
 おかげで、手元に届いた時のODOメーターは「0000.00km」。
 初めてみた珍しさのあまり、つい先日、買ったスマートフォンで撮影してしまったほどだ。

 その車に最初に乗った客はパソコン達。
 地下駐車場と最上階である12階を往復すること5回。
 さすがに疲れたが、特に仕事で忙しいわけでもない男には、「良い運動になったな」程度の苦労だった。

 ボロアパートに引っ越した際に買った洋服ダンスは、ウォークインクローゼットがあるので、処分してしまった。
 残っている家具で、引っ越し屋が運ぶのに苦労するのは、洗濯機と冷蔵庫くらいなものだ。
 少々、値が張るものの、すべてお任せコース。
 引っ越し業者の方で、住居移転の手続きから、近隣住人への挨拶までやっておいてもらえるという至れり尽くせりのコースで、食器や書籍などの梱包までしてくれるという。

 男は必要最小限の食器や料理道具しかなかったし、書籍は全て電子化していたので、引っ越し屋の方から何度か割引しようかと持ちかけられた程だった。
 楽な仕事だったのだろう。
 男にしてみれば、引っ越し自体は自分でも出来た。
 むしろ、大金を払ってでもやってほしかったのは、役所への届け出や近所への挨拶回りだったのだ。
 他人と関わるのが何よりも苦手だった。

 午前中に始まり、昼前に終わった引っ越し。
 ソファどころか、本当に何もない新居のリビングであぐらをかいた男は、一人暮らしの身で4LDKは広すぎたかもしれないと思った。
 この部屋だけで90uあるのだ。

「やれやれ・・・掃除はロボットに任せないと研究時間が減ってしまうな」

 ネカフェの狭さが落ち着く男は、贅沢なため息をついた。


第18話に続く

2014/10/14 初版

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