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Doll Master 2.5 〜その後〜 第23話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 男は環境が変わったものの、いきなり浪費家になったり、成金趣味に走るようなことはなかった。
 必要最低限のものがあれば良い。
 そういう性格で、重要なのは催眠術の研究のみなのだ。
 軽自動車では風が出てくるだけで、ぜんぜん冷えなかったクーラーも、新しいミニバンでは効きすぎて寒いほどだと、些細な事に喜んだ。
 それにミサに会えるのも嬉しかった。
 どういう人物かはまだあまりよく知らない。
 それでも肌を合わせた相手というのは特別な気がするし、何より、彼女は美人だった。
 熟女ブームも分かる。
 若いだけの女性にはない魅力が、彼女には詰まっていた。

 PiPiPi...

 ナビシートに置いてあるノートPCから約定を知らせるビープ音が鳴った。
 「取引中の決済が完了した」という合図だ。
 運転中ということもあり、ロクに画面も見ないで株取引をしている以上、自分が望まない結果になっている可能性はある。
 引っ越し先が落ち着かなくて、遊び半分に作った自動売買プログラムがうまく判断できなかったという事もあり得る。
 損失を最小限に留めるロスカットをしたのかと、信号待ちの間に画面を見てみた。
 男の懸念は全て外れ、取引口座の残高が数百万ほど増えていた。

「ふぅ・・・研究資料を広げる前に、業者を呼んで壁を防音素材にしてもらおうかな・・・」

 おそろしく金がかかることをさらっと言えるほど、トレードは何をしても成功していた。
 行きつけのネットカフェを通り過ぎ、ミサと待ち合わせをしているファミレスに車を停めた。

 ガラスを通して、店内が見える。
 ミサが窓際の席におり、背筋を伸ばして座っているのが分かった。
 遠目で見ても清楚なその容姿に、男は心を躍らせる。
 自分に待ち合わせ相手がいるなんて、人生で初めてじゃないか?

 パソコンしまって、
 バッグに入れて、
 後ろの席に置いて、
 車のキーを抜いて、
 ドアを開け・・・おっと、シートベルトを外さないと・・・

 あたふたしながら、車を降りる。
 つくづく、催眠術以外のことに関しては不器用な男だった。


第24話に続く

2014/11/26 初版

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