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Doll Master 2.5 〜その後〜 第24話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 男はこれだけ稼いでいるのに服装にも無頓着だ。
 古いシューティングゲームの絵柄が付いているTシャツに、あちこち色が落ちているジーンズ。
 足元はぼろぼろだが、車の運転が出来るよう、踵がついている少し良いサンダルだ。
 いつ買ったか忘れるほど昔から履いていたが。

 明らかに自分と釣り合わない男が入ってくるのを見たミサは、手を挙げてから会釈する。
 彼女はそれなりに整った服を着ていた。
 薄い黒のブラウスで、ネカフェでも履いていたやはり薄手のプリーツスカートだ。
 何度かのローテーションで、たまたま同じスカートになったわけではなく、あまり服を持っていなかった。
 それでも薄化粧をして、一応のおしゃれをしている。
 実は昨夜、ネットゲームに興じる夫を横目にカラーボックスを漁って、上下お揃いの下着を着けていた。
 デート前日のような気合いの入り方だが、彼女にしてみれば、潜在的な嫉妬心から、自然に行った身だしなみというだけである。

 男はミサの姿を見て、自分が彼女に恥をかかせていると思い至った。
 今度、服屋に入って、店員お任せで何か買おう。
 どんな服が良いのかまったく分からないから、お任せで選んでもらうしかない。
 それでも買う必要がある。
 自分がキモデブなのは諦めてもらうしかない。
 でも、この服装は失礼だと思ったのだった。

 席に着くなり、男は謝った。
 メールをもらっていたが、ネカフェに行けないほど忙しかったということ、こんな服装のこんな俺が待ち合わせ相手ですみません。
 そう言ったが、ミサは気にしないで下さいと言って微笑むだけだった。
 顔を見ているだけなのに眩しい気がした。
 嬉しいような、恥ずかしいような曖昧な気分になり、つい本当に気にしなくて良いような気がしてしまう。

 男は思った。
 女性は生まれながらにして、催眠術の才能があるに違いない、と。


第25話に続く

2014/12/03 初版

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