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Doll Master 2.5 〜その後〜 第25話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 男は相変わらず、彼女の目をまともに見ることが出来ない。
 緊張するからだ。
 ミサの容姿は整っているが、一際、美しい髪が店内に入り込んでくる日差しに照らされて輝いている。
 鼓動が早くなるので、目を見ずに口元を見ていたが、それも扇情的な唇を見ているうちに、「この形の良い唇に吸われたのか・・・」などと考えてしまって、集中できない。
 ついにはそっぽ向いて、話を聞くことになった。

 ミサの方は、トイレでの一件と同じだったので、気にしなかった。
 この男はコミュニケーションが苦手なのだ。
 分かっていた。

 何よりグチが溜まっていた。
 容姿や物腰を僻まれているのか、おとなしいからか、ママ友がいないのがキツかった。
 夫も含めて、グチれる相手がいないのだ。
 親はすでにいないので、余計に一人ぼっちだ。
 母親は失踪、父親は死別。
 夫の親は、何はともあれ夫の味方で、何かあればとりあえずミサが悪いことになる。

 男は話を黙って聞いていた。
 おとなしい印象のミサが早口にまくしたてるという事は、相当のストレスを溜め込んでいると思ったし、それは昨夜のメールでも分かった。
 なにより、自分には話す事がなかったし、偉そうなアドバイスなど何も出来ない。
 ただただ、聞いていることが、彼女の役に立つならそれで良いと思って、相づちを打つ以外はしなかった。

 ミサは私ばかり話して・・・と何度か謝りながらも、グチが止まらなかった。
 この男は話を聞いてくれる。
 一緒になって憤慨してくれる時もあるが、それで話を始めたりしないのだ。
 ずっと熱心に聞いてくれる相手というのは、とても有り難かった。

 保護者会でもぼっちになってしまうということ、
 やたら突っかかってくる女がいるということ、
 夫は相変わらずだが、もはやどうでも良くなったということ、
 子供の行く末が心配だということ。
 ミサは呼吸が乱れるほど、一気に話していた。

「ごめんなさい、つまらない話を長い間・・・」

 彼女がまた頭を下げた。
 男が唸る。
 どうやら、ミサの話はこれで全てらしい。
 それなりにすっきりした顔をしているので、少しはストレス解消も出来たようだ。
 ちょっとバーチャルに仕返しでもしてはどうだろうか?
 男は話を聞いて憤慨した、やたら突っかかってくるという女に催眠術をかけようかと提案した。

「俺はこう見えて、いや、よく知っているでしょうけど、悪党なんですよ」
「え?」
「その女がヘトヘトになるまで、責め抜いて、復讐を手伝うのはどうでしょう」


第26話に続く

2014/12/09 初版

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