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Doll Master 2.5 〜その後〜 第32話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 絵美はブランドバッグをソファに置いてから振り返った。
 その表情に険はなかった。
 キツ目の顔だが、にっこりされるとドギマギするほどの魅力がある。

「シャワー浴びてきた方がいい?」
「うぉ? え、いや、そ、そうしたいなら・・・」
「このままでもいいの? 匂いフェチなの?」
「そそ、それはどうでもいいとしてだな・・・身体張って罪滅ぼしなんてしなくていいんじゃないか」

 男はキョドってきていた。
 虚勢も限界に近い。
 何より、絵美の考えていることが分からなかったのだ。

「ミサさんに負けたくないだけ・・・」
「ち、ちゅーしただけだが」
「・・・」

 ネカフェの時に限って言えば、ウソはついてなかった。
 男からむしゃぶりついたのは口だけで、あとは悪用した催眠術や、乗り気になったミサにされたことばかりだ。

「それじゃキスしましょ」
「い・・・いい加減にしろって! 俺にだって少しくらいはプライドがあるぞ。こんなひどいキモデブに抱かれるから許してほしいなんて、そんな扱いされたら、少しくらいはヘコむんだぞ。べつに謝らなくたっていいじゃないか。ミサさんに直接、言わなくても、普通に接すればそれでいいだろ?」
「・・・」
「も、もしほんとにミサさんと同じことするっていうなら、たいへんなことになるんだぞ?」

 なんせ、ミサは中出しを許してくれたのだ。
 実を言えば、今も妊娠してないか心配になることがある。

「なんでキスぐらいでたいへんなことになるのよ。他にもいろいろしたんでしょ」
「そ、それは俺がミサさんにさせてしまったんだ。ものすごく後悔してるし、反省してる。だから、あんたには悪かったけど、ミサさんにとっての障害を・・・」
「それが嫌なの!」
「お?」
「二言目にはミサさんミサさんって、私にもプライドくらいあるわ。どうせ私は浅慮で尻軽でケバイわよ。あの人に比べたら下品よ! でも、私のパンツと靴で出してたじゃない」
「う、うん・・・まぁ」
「美人だって言ってくれたし、子供の心配もしてくれたじゃない・・・なのに・・・」
「お、おい・・・」

 絵美は目に涙を浮かべていた。
 今にも流れ出しそうだ。

「女として見てくれない。私は間違ってたけど、それが原因でミサさんに嫉妬してたのに、あなたはぜんぜん分かってくれない・・・う・・・うぅ」
「おいおいおい、ちょっとちょっと!」

 絵美が口をへの字にして泣きそうになっている。
 美貌は台無しで小さな女の子みたいに立ちつくしている。
 決壊寸前だ。

「な、泣かないでくれって。分かってくれよ。俺はただでさえひどい事したんだから、抱いて下さい、はい、いただきますって、そんなこと出来るわけないだろ」
「じゃあ、催眠術かけて・・・」
「へ?」
「今日の記憶を消して。ミサさんに意地悪しないってところだけ残して」

 男は天井を見上げて唸った。
 コンピュータのチップを抜くわけじゃあるまいし、そんなピンスポットに記憶を操作できるほど、催眠術の腕は上がっていない。
 だが、名案は思い付いた。
 催眠術師であることをころっと忘れていたのだ。
 本来の使い方ではないし、研究は一生モノだと思っていたので、女性にかけることを念頭に置いていないから、つい忘れるのだった。


第33話に続く

2015/01/27 初版

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