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Doll Master 2.5 〜その後〜 第33話
飯場 正臣 feat.大和武尊

「わ、分かった。催眠術をかけるよ」
「・・・」

 絵美は不満そうだった。
 そんなに抱きたくないのかと言わんばかりだ。

「そんな顔するなよ・・・俺は催眠をかける。内容はこうだ」

 今までのことはすべて覚えている状態にする。
 人間は感情や理性で、その時々の思いが変化するものだ。
 ミサへの嫉妬や、子供の事について色々話した部分で、それなりに変化があったと思う。
 そこで、“本音”を解放させる。
 会話の内容で揺さぶられた感情は全てリセット。
 純粋に目の前の男とラブホにいるということだけが事実として残る。

「分かるか?」
「どうなるの?」
「これからはいいお母さんになろうって決心をしたあんたは変わらない。ただ、目の前にいるのはパンプスとパンティーで射精したヘンタイ野郎で、しかもブサイクなデブだという事を冷静に認識する」
「・・・」
「ここここ、こんな男にキスしようなんて言ってたのー!? ってなる。絶対なる。多少、セリフは違うかもしれないが」
「そ、それは・・・」
「あまりにも悲しいが、そうなる自信がある。でも、あんたにとっては良い事だ」
「どうして?」

 言わせんのかよ・・・とほほ。
 男の自尊心が痛んだ。

「キモデブと一線を越えたら、あんたのプライドはズタズタになる。それは・・・ミサさんへの嫉妬を上回るダメージになるだろう」
「あなたのプライドはどうなるのよ・・・」
「とっくに鉤裂き状態だよ、気にするな。それに贖罪の材料に使われるよりはいい」
「そんなこと思ってな・・・」
「いいんだ。これは俺の希望でもある。いや、男なら誰でも抱く希望だ」
「な、なによ、それ」
「美人には毅然としていてほしい。私と釣り合うとでも思って!? くらいにそっくり返ってる方が似合ってる」

 そう、特に絵美には似合ってる。
 めそめそ泣いてる女性なんか見たくなかった。
 それは男の幻想かもしれないが、相手にされないなら、されないなりに女性への印象を崩したくはなかったのだ。

「私・・・あなたのこと忘れちゃうの? 部屋から飛び出てったりしちゃうの?」
「忘れないかもしれないが、その時は要注意人物にしか見えないド変態だと思うはずだ。飛び出て行く可能性は高い。先にタクシー代を渡しておこうか?」
「いらない・・・魔法が解けるみたいになるのね」
「ああ、最悪の暗黒魔法だ。間一髪ってとこだな」
「先にさよならって言っておいた方がいい・・・?」
「お、おい、泣くなって。大丈夫だから。魔法が解けたら、それでさえ言わなくて良かったって思うから」

 絵美がぽろぽろと涙を流し出した。
 手を胸の前に組んで、きつく握りしめている。
 ただのケバイ高飛車女だと思っていたのだが、男は不覚にも可愛いと思ってしまった。

「私、本当に感謝してる。このあと何を言うか分からないけど、ずっと感謝する。今が本心だから・・・」
「信じるよ」
「・・・」
「それじゃ、催眠をかけるよ。ふ〜って息をかけたら、すぐにかかる。タバコ臭いし、元々臭い・・・すまん」

 言い放って、男は息を吹きかけた。
 突き飛ばされるだろうと覚悟しながら。


第34話に続く

2015/02/04 初版

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