2010-2016 (C) e+- - All Rights Reserved.2010-2016 (C) e+- - All Rights Reserved.

Menu / Menu (Frame On)

Doll Master 2.5 〜その後〜 第39話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 ミサは声も出ないほど驚き、こんなに高価な物は受け取れないと言ったが、平気で宝石の付いたアクセサリーを受け取る女性はいくらでもいるんだからと男は言い張った。
 終いには、「催眠術で始めから持ってたことにすることも出来る」と言って譲らない。

「俺・・・子供の頃の映像なんてないんです。写真すら。貧乏だったと言えばそれまでですが、あんまり親が関心を示してくれませんでした。催眠術も最初は、親が何を考えているのか・・・もっと正直に言えば、俺は本当に愛されてるんだろうかって考えて始めたんですよ。ちゃんと3食ご飯を作ってくれてたんですから、聞くまでもないのに」

 愛に恵まれていなかった。
 たぶん、男が言うよりも寂しい思いをしたんだろうとミサは思った。

「だから、撮ってあげて下さい。可愛いなって思ったら、すぐに。スイッチを押して5秒で撮れるようになる最新型ですよ。これはオススメですよ」

 男が店員のマネをして言うと、ミサはついに泣き出してしまった。
 何度も何度もお礼を言う。
 ハンカチで口を覆うも、嗚咽が止まらない。
 男は慌てて、量販店の駐車場に設置してある自動販売機まで走っていった。
 すぐにお茶を持って戻ってくる。

「お、お茶です。お茶は落ち着きます」

 おたおたしていた。
 ミサはそれを見て、さらに激しく泣きじゃくった。
 娘の為にここまでしてくれる人は皆無だと改めて思った。
 振動ブレスレットでさえ、高価だろうし、気遣ってくれたことに感謝していたのに、この男はどこまで優しいのか。
 羽振りが良くなったから、いろいろプレゼントをしてくれる。
 そういう男はけっこういるだろう。
 だが、何よりも娘のことを大事に考えてくれる男は、そんなにいるとも思えない。
 現金をくれることはあっても、母娘の絆を強める物を買ってくれる男は珍しいだろう。
 もはやロクにお礼も言えずに、ただただ泣き続けるミサを見て、男は何をしていいか分からなくなっていた。


第40話に続く

2015/03/18 初版

前話へ ≪─≫ 次話へ
書庫に戻る
▲Page Top▲

Profile / Library / Library2 / Gallery / Comic / Column / Occult Post / Kaku-duke / Warehouse / Blog / Link

2010-2016 (C) e+- - All Rights Reserved.2010-2016 (C) e+- - All Rights Reserved.

inserted by FC2 system