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Doll Master 2.5 〜その後〜 第62話
飯場 正臣 feat.大和武尊

「子供・・・大切なんだな?」
「?」
「動機もプロセスも関係ないんだ。結婚するための道具だったってんなら、それはそれで仕方ないじゃないか。その時はそう思ったんだから」
「・・・」
「今も、これからも大切なんだよな?」
「大切よ。保護者会でどうとか、夫なんかも関係ない。私はあの子が大切・・・本当」
「信じるよ。自分は何されても、殺されてもいいって言ったんだから。なら、全員に優しい母親でいてくれないか」
「?」
「生き物だし、意志もある。見栄だってあるだろう・・・人間なんて誰でも。でも、誰かをいじめたり、仲間はずれにしてるイジワルママを見て子供はどう思うだろうか」
「あ・・・」
「他の女性と結婚してる男連中が何を言おうと、誰に親切だろうといいじゃないか。少なくとも子供にとっては美人のママだ。いつも綺麗な服を着てて、頭も良い。他のお母さん達に褒められてる。そして、皆に優しい・・・自慢のママで当然だろ?」
「私・・・私・・・」
「子供ってのは感じ取るんだよ。自分にどんだけ優しくしてくれても、他でイジワルしてるって事をな。そりゃ微妙な気持ちになる。歪んじまったらどうするんだよ。逆もまた然りだ。分け隔てなく優しいママなら、たとえ見ていない所であっても子供は敏感に感じ取る」
「うん・・・うぅ・・・うぅぅ・・・」
「気にするなら、男の視線じゃなくて、子供の視線だろ?」
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁ」

 絵美は顔を覆いもせずに泣きじゃくった。
 両手を膝に乗せて、涙が流れるままにしていた。

 ミサの為だけに言ってるんじゃない。
 子供が大切なら、今の絵美は間違っているんだと男は言った。
 ミサがそんなに気に入らないなら、俺が支えるから今まで通りに好き放題すればいい。
 その代わり、子供には絶対に悟らせないでやってくれ。
 歪みきった孤独な人間がどんな思いをするのか、あんたには想像も出来ないと思うが、子供を目の前にいるキモデブみたいにしたくなかったら頼む。
 昼間、人目のあるうちは出かけない。
 夜中こそが自分の時間で、夜が明ける頃に眠くなる。
 最初は好きな時に寝て、好きな時に起きるだけだ。
 だが、そのうち体内時計が狂って戻らなくなるのだ。
 寝る前に腹が減ったと、平気でカロリーの高いものを食べてぶくぶく太る。
 歪んだ性格はやがて顔に出て、鏡を見るのもイヤになるほど醜悪になる。

「こうなっちまったら、もう取り返しがつかないんだ・・・」
「・・・」

 静かに語った男はハンドルが軋むほど握りしめ、少しだけ息を吐き出した。

「自分に掛けられるなら、催眠術をもっとも掛けたい相手は俺なんだ・・・」


第63話に続く

2015/08/25 初版

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