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Doll Master 2.5 〜その後〜 第64話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 彼女たちが変わるきっかけを与えた男は消えていた。
 自分から姿を消したのだ。
 最後に“こんな男は知らない”という催眠を彼女らにかけて。

 実を言えば、男は2人から求婚された。
 女性がすでにいる夫と離婚して、自分と一緒になりたいなどと言ってくれるとは思っていなかった。
 男は嬉しくなったが、同時に責任を感じていた。
 催眠術は便利とはいえ、人生のリセットボタンではない。
 彼女たちには本当に幸せになってもらいたいと思った男は、自分に関わらずとも気持ちを切り替えられるようにして去ったのだった。

 男はその後も催眠術の研究を続けている。
 それは規則正しい生活の元で行われていた。
 まるで囚人のように、己に厳しい制約を背負わせての生活だった。

 事実、囚人と同じように暮らすことで、罪を償っていたのだ。
 男は3つの罪を犯した自分を許せなかった。
 殺人と強姦未遂が2件。
 自首しようにも、被害者不在。
 解決済みの自殺が1件に、2件の強姦未遂は被害者が被害者としての自覚を持っていない。

 だが、許せなかったのは自分自身だった。
 研究は一生涯続くだろう。
 他人を必要とする催眠がテーマであるにも関わらず、他人と一切接触しない暮らしをしているのだ。
 遅々として進まず、終わりもない。
 それで良いのだと、男は決心していた。


 *


 『王様の耳はロバの耳』に代表されるよう、自分の心境を吐露できない状態が続くと計り知れないプレッシャーに曝される。
 男は自我を保つ為、非公開のブログにそれまでの事を記録していた。

 ----Doll Master---

 催眠術師の回顧録である。


「Doll Master 2.5 〜その後〜」完

2015/09/08 初版

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