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Doll Master 3 第4話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 もし本当に催眠術が使えるなら、何に使おうか。
 男はそればかりを考えるようになっていた。
 人を思うがままに操れるという事だ。
 自己満足の為だけに使うことは十分に可能で、どちらかというとエンターテナーやカウンセラーでもない限り、そちらの方が多いように思った。
 かのJFK暗殺の時などは、キーワード式の暗示催眠が使われたという説がある。
 それを突き止めたのも逆光催眠だったらしい。
 約半世紀も前に、すでに催眠術は世間を動かすレベルにまでなっていたという事だ。

 では、自分は?
 何に使うのかは人それぞれだろうが、こうした人知を超える技術はたいてい理性を越えた欲望を叶える事になるだろう。
 金か性。
 人間性など脆いものだ。
 自分もそこに行き着くような気もした。

 いや、その前にやりたい事はある。
 はっきり言えばやりたい放題なのだ。
 それなら過去を清算したい。
 男は胃がキリキリと痛み出した。
 普段は過去の事を思い出さないようにしていたのだ。

 学生時代にバカにされた、意味も分からずつっかかられた。
 おそらくは自分にも原因があるのだろう。
 人と関わるのは幼い頃から苦手だった。
 だからといって、なぜいじめられなければならないのか。
 「イジメ」だの「ヤンチャ」だのと可愛らしい言葉で薄められているが、社会人がやれば立派な犯罪でも、学生時代なら許される。
 それどころか、1件で逮捕され、前科者になるようなことを、学生時代には毎日のように行っても黙認されるのは間違っているだろう。
 男はそんなにひどいイジメを受けたことはなかったが、それでもたった一言を忘れられずに何年も思い出してはムカムカすることがあった。
 風呂に入っている時、ゲームをしている時。
 ちょっとぼーっとすることがあると思い出すのだ。
 この先、何十年、続くのだろうかと考えるとゾッとする。

 誰かに相談する事も考えたが、うまく言葉に出来なかった。
 その状況にならなければ分からないことはあるのだ。
 たった一言をねちねちといつまでも覚えてないで忘れろ。
 その程度だろう。
 軽く受け止められる上に、自分の人格まで否定されるのは耐えられない。
 だから、誰にも言えずにいたし、そもそも言う相手もいなかった。

 その過去を清算する。
 思い出すだけでも、胃が痛む。
 イライラするし、腹が立つ。
 やった方は覚えてもいないだろう。
 ちょっとした事なのだ。
 そのちょっとした事がどれだけのダメージを与えるか分かっていないクズが多すぎるのだ。
 10年以上経っても未だに夢を見ることがある。
 学生時代の暗い思い出はもうごめんだった。
 復讐に使おう。
 男はそう思った。


第5話に続く

2015/10/06 初版

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