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Doll Master 3 第9話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 デジタル催眠のテストが成功したとすれば、<コロニラ・バレンティナ・バリエガータ>宛にメールが来るはずだった。
 そして、ターゲットの木宮は自分の携帯アドレスを明かす。
 住所も。
 さらに男のアドレスを登録し、次から来るメールに添付されてくるプログラムは必ず読むようになるはずだった。
 テストにしては相手にさせることが多い。
 だが、これぐらいのことが出来なければ、実践的なテストにはならないとも思っていた。

 男はフリーメールのサイトを開き、受信箱への新着がないかリロードを繰り返していた。
 焦っても仕方がないのだが、数秒おきにやっていた。
 午前1時までに返信が来なければ、“ごくごく平凡な一般人”のデータを消すつもりだ。
 ハッカーとして行動する時にはありえないくらい穴だらけの計画だ。
 自分の身元がバレるかもしれないというリスクを軽減していない。
 だが、男がひっきりなしに更新ボタンをクリックしているのは、リスクヘッジに関する問題ではなく、復讐が近づいているという高揚感でもなかった。
 純粋にアナログ技術をデジタル化できるかどうかに興味があったのだ。

「少し、落ち着くか・・・」

 男は大瓶で買ってきた珈琲を紙コップにあけ、添え付けの電気ポットでお湯を入れた。
 ドキドキしていた。
 こんなに楽しい緊張感は久しぶりだ。
 遠足だ、修学旅行だと楽しむことも、期待もしなかった学生時代には味わうことのなかった感覚だ。
 熱い珈琲をすすりながら、時折、顔がにやけてしまう。

「ドールマスター、あんたは心の師匠だよ」

 男は見知らぬ師匠に語りかけた。
 催眠術の師匠であることはたしかだ。
 しかし、それ以上に復讐を成し遂げたあと、何らかの後悔をするとしたら、彼が残したメンタル的な立ち直り方、罪の償い方はきっと救いになる。
 そう思った。

 午後11時半過ぎ。
 ついにその時は来た。

<To:コロニラ・バレンティナ・バリエガータ
 私は木宮。
 住所は・・・>

 かかったな。
 男はほくそ笑んだ。
 さっそく催眠効果のあるプログラムを送りつける。
 さっきよりもやらせる事はたくさんあったが、成功する気がしていた。
 そして、ハッカーとしての仕事も忘れなかった。
 “ごくごく平凡な一般人”のデータと、男が送ったメールを自動的に消滅させるプログラムだ。
 サーバーからも消すように組んだ、かなり時間をかけたプログラムだった。


第10話に続く

2015/11/10 初版

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