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Doll Master 3 第12話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 美砂ははなかなか呼び出しに応じないはずだ。
 そもそも自分のことを覚えていない可能性が高い。
 メッセージを送りつけて、その中に催眠効果のある画像を仕込んだURLを貼っておいてもクリックはしないだろう。
 フィッシング詐欺の常套手段にかかるとも思えない。
 携帯電話の番号を調べあげるのは簡単だ。
 だが、アドレス帳にない番号は繋がない設定にしてあればそれまで。
 イケメンに成りすますなどの手段も警戒はされるだろう。
 いくつか試してしまったら、余計に警戒心を煽りそうでもある。
 男は考え込んだ。
 木宮のようなバカとは違う。
 彼女は性格や言葉遣いに問題があるだけで、まともな思考の持ち主だということは認めざるを得なかった。

 男はふと散歩に出ることにした。
 ハッカーではなく、プログラマーとして悩んだ時にはたまにそうしている。
 もっともたいていは夜中を選んでいたが、珍しく明るいうちに出ることにした。
 完全な夜型ではなくなっていたのもある。
 一番の理由は、とても眠れそうにないという高揚した精神状態だからだった。

 男にとって、散歩は脳を活性化するのに最適だった。
 視覚・嗅覚・聴覚に刺激が入り込んでくる。
 それもアナログの刺激だ。
 ほとんどすべてがデジタルの世界で生きている男には、それがとても新鮮なのだ。

 名案はすぐに浮かんだ。

 冷静に考えれば簡単だった。
 美砂も例のSNSに登録している。
 フレンドリストを見て、普段からメッセージのやり取りをしている元同級生になりすませばいい。
 話題ならある。
 共通の話題は先日、他ならぬ男が作ったのだ。
 木宮の醜態はネット民ならずとも、ショッキングなニュースではある。

 大まかな計画を立てると、男の行動はいつも素早い。
 ハッキングをして、美砂と交流がある女のアカウントからパスワードまですべて抜き出した。
 ランダムに選んだ、同級生の中でも比較的、メッセージのやりとりが多い女性に成りすまして、さっそくメッセージを送る手はずを整える。

 話題性がなければだめだろう。
 だから、木宮からメールが来ていた。
 すごく驚いた!
 ここを見て欲しい。
 そのあとにURL。
 これが散弾だった。

 クリックしたら催眠効果を発揮させる画像が流れる仕組みだった。
 セットした催眠内容は簡素なものだった。
 男の捨てアドレスにメールを返信させるというもの。
 女性にどれだけ細かいことをさせられるかというテストも含めて、文面も指定した。



<To:コロニラ・バレンティナ・バリエガータ
 裏の仕事を依頼したい。
 私は美砂。
 住所は○○だが、連絡は携帯電話へ>



 いつも見慣れているハッカーとしての男への仕事依頼にそっくりな文面だ。
 それだけに、一般生活を送っている女性が送るはずのない文面だった。
 偶然というイレギュラーを排除できる。
 催眠にかからなければ、計画は水疱に帰すが、その時はあらゆる痕跡を消して、なかったことにするだけだ。
 やり直しはきかないだろうが、ターゲットを代えるだけで済む。
 美砂への復讐を諦めればいいだけだ。
 ただそれだけでリスクはない。


第13話に続く

2015/12/02 初版

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