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Doll Master 3 第15話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 男は電車の中で携帯に指示を出し、美砂の自宅の近所にあるファミレスに呼び出していた。
 美砂の家からは少し距離があるが、男はもっと遠かった。
 電車で2時間はかかる。
 スマートフォンにダウンロードしてあるアプリのゲームでもしようかと思ったが、このあと美砂に会って、肝心な時にバッテリー切れになることを憂慮し、やめておいた。

 当然、移動中は暇だ。
 何とも面倒な女だ。
 自分から呼び出し先を指定しておいて、男は不満げだった。


 ・・・


 外から店の中を見ると、美砂と思しき人物が、手持ちぶさたな様子で待っていた。
 平日の昼間で客は少なく、どことなく、美砂は自分が何でそこにいるのかを分かっていないような、来たくて来たんじゃないというような表情をしてるようにも見えた。

 大して変わっていない外見。
 学生時代に比べれば垢抜けているように見えるが、どことなく地味すぎるような雰囲気が漂っている。
 あまり背は高くなく、黒い髪は長い。
 意地悪そうな表情は健在で、いつも何かにイライラしているような顔つきは変わってなかった。

 男が席に着くとハッとして美砂は顔を上げた。
 突然、目の前に座られて驚いているようだった。

「相変わらず毎日生理が来てるような顔してますね」
「なっ!!」

 瞬間的に激昂したのか、顔を真っ赤にする美砂。

「ナ・ニ・ヲ・タ・ノ・ミ・マ・ショ・ウ・カ」

 男は怒鳴りださんばかりの美砂を前に、落ち着いて話しかけた。
 何のことはないファミレスでは普通の会話だが、暗示催眠のキーワードだった。

<おとなしくする。質問には答える>

 それ以外は普段の美砂のままだろうが、まずは話ができないと計画もなにもない。
 彼女は男以上に会話を続けるのが難しい性格だった。
 人の話を聞かないのだ。

「深蒸し緑茶・・・」

 催眠効果は確実に現れたようだが、精神が興奮させた身体は怒りに満ちているのか、ぶるぶると腕を振るわせていた。

「こわいこわい。美砂さんのために淹れてきますよ。ここはドリンクバーなんでね」

 男は余裕で席を立った。

 ドリンクバーの前まで来ると、美砂の座っている席が見えなくなった。
 すかさずメールを送る。
 もちろん、あらかじめセットしてある催眠効果付きの動画だった。
 美砂はテーブルにスマートフォンを置いていた。
 男は音声にすることも考えていたが、充分に動画を再生できるスペックがあると判断してのことだった。

 遠くで美砂の携帯がなった。
 席に戻る頃には催眠状態になっているだろう。
 今度のは少し高度な催眠だ。

<目の前にいて話しかけてくる人間は友達>

 そんな都合の良い指令がうまくいくのかは分からなかった。


第16話に続く

2015/12/22 初版

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