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Doll Master 3 第16話
飯場 正臣 feat.大和武尊

「・・・」

 男がカップを2つ持って席に戻っても美砂は無言だった。
 緑茶と、自分に汲んできた野菜ジュースをテーブルに置く。

「けっこう久しぶりだったかしら?」

 唐突に美砂が話し出したので、男は思わず苦笑した。
 そうだった。
 この女は飲み物を取りにいかせたくらいでは礼なんか言わない性分なのだ。
 少しぼんやりしているが、催眠効果ではなく、本来の性格で何も言わなかったのだろう。
 改めてムカムカしながら、美砂を見た。

 初夏とは言え、すでに暑い日が続いているためか、夏の装いだ。
 ベージュのサテン生地で、ノースリーブのワンピースだった。
 足下はクリアブルーのミュール。
 ただそれだけ。
 アクセサリーもしていなければ、マニキュアさえ施していない。
 もっともデートなどではなく、どうして、誰に、何のために呼び出されたのかも分からず、ただここに来たのだから、買い物感覚で出てきたのかもしれなかった。
 底意地の悪そうな吊り目に、絶えず文句でもありそうな真一文字の口。
 一応、薄化粧はしているようだが、人目を引かない地味な顔つきで、男はこんな奴に時間を割くために、寝る間も惜しんでプログラムしていたのかと、ため息をつきそうになった。

「そうですね。仕事が忙しくて会えませんでしたから。お元気でした?」
「なんで敬語なの?」
「・・・」

 男はまた苦笑した。
 お前が言ったんじゃねーか!
 思わず、口をついて出そうになった。
 学生時代のことだ。

<友達でもないし、仲良くもないんだから敬語で話しなさいよ>

 思い出すだけでムカムカする記憶だった。


第17話に続く

2015/12/29 初版

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