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Doll Master 3 第28話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 夕刻の少し前に美砂を駅前に呼び出した男は、がっくりとうなだれてため息をついた。
 グレーのTシャツに七分丈で黒いスキニージーンズ、スニーカーという美砂の装いは、初夏らしく爽やかであるものの、男の趣味とはかけ離れていたのだ。

「何よ、いきなり。何の用なの」

 昨日の今日で腹が立つ相手に呼び出された上に、会うなりため息をつかれては美砂でなくとも気分は悪いだろう。
 みるみる顔が険しくなる。

「そんな顔をしないで下さいよ。色気のかけらもないので呆れていただけです。すっぴんですか?」
「あんたと会うのに化粧してオシャレしなきゃいけないわけ?」
「うーん・・・」

 彼女の言ってることは正しかった。
 男は唸ってしまった。

「怒らないで下さいよ」
「あんたの顔を見てるだけでムカツクわよ! あんなことして!」

 美砂は怒鳴りこそしなかったが、口調は鋭かった。
 周囲の注目を集めるような声を出さないところは、彼女の聡明さなのか良識なのか、それともダサめの男と一緒にいること自体、誰にも見られたくないのか。
 男には判断できなかったが、彼女が本気で自分を嫌っていることだけはよく分かった。

「俺はね、復讐をしたい相手は他にもいたんですよ」
「あんたなんかに関わったことないんだから、復讐される覚えなんてないけど? それにもう済んだでしょ」
「聞いて下さい」
「他の人に復讐してくれない!?」
「聞いて下さいよ。目的は復讐なんです。美砂さんを選んだのは俺が知っている中で一番綺麗だったからなんですよ。たくさんムカつくことがあってもやっぱり綺麗だから鮮烈に覚えていたってのもあるでしょうし」
「な、なに言ってんの・・・バカじゃないの」

 美砂は突然の褒め言葉にしどろもどろになった。
 男の方は完全にでたらめで、ただキツイ顔をしているだけの気が強い女を綺麗だと思ったことなど一度もなかった。

「べ、べつに綺麗って言われたことがないわけじゃないけど、そんなことないと思うし、あんたみたいにダサダサで誰にも相手にされない男には美人に見えるかもしれないけど・・・」

 ぶつぶつ言っている美砂の言葉はところどころカチンと来たがほっとくことにする。
 それよりも今日はこの服装を何とかしなきゃダメだ。
 男はそう思った。
 なんせ勃たせなくするだけの威力がある色気のなさだ。
 催眠でド淫乱に変えるというのもアリなんだろうが、それはそれで面白くない気もする。
 何より、美砂は催眠にまだ気付いていないようだ。
 切り札は取っておくに限るではないか。


第29話に続く

2016/03/29 初版

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