2010-2016 (C) e+- - All Rights Reserved.2010-2016 (C) e+- - All Rights Reserved.

Menu / Menu (Frame On)

Doll Master 3 第52話
飯場 正臣 feat.大和武尊

「だからお礼ですよ」
「な! なにこれ・・・なによ、ちょっと・・・」

 中身を見た美砂が、両手を口に当てて目を見開いている。
 男はお湯を沸かしながら、凝固している美砂に説明した。
 P乙Pは新しい機体の方が軽くて高性能であること、充電しながら遊べるなどの機能も拡張されているということ。
 3D乙は趣味が分からなかったので、とにかくモソハソ仕様のアクセサリーを片っ端から揃えたということ。

「昨日のSNSを見て、詳しい人・・・い、いや“友達”に聞いたらいろいろと教えてくれたんです」
「な、な、なに勝手に見てるのよ!」
「非公開になってないじゃないですか」
「それにしたって、こ、こんなにたくさん・・・」
「本体は2つなんですけど、オススメのアクセサリーを揃えるとかさばっちゃって、ハハハ。でも軽いですから持って帰れますよね。タクシー呼びまし・・・」
「どうしたのよ、これ!? なんで!?」
「だから画像のお礼ですって。俺、初めて添付画像をもらったから」
「添付画像をもらったから、お礼にこれを!? あんた本当にバカなの!?」
「なんでそんなに怒ってるんですか・・・そりゃ今までしてきたことは・・・」
「画像くらいでこんなにお返ししてたら、あんた破産するわよっ!!」
「大げさですよ」
「この前だって、服から下着から買ってくれたじゃないの!」
「あれは俺の好みに・・・」
「少しは自分の服にも気を使いなさいよ! なんなのそのダサい格好! 髪も汚らしいし、靴も汚れてるし。そんなんじゃ彼女もいないんでしょうけど、ちゃんと先のこと考えてるの!? 貯金しなさい! 独身貴族ぶってお金使いまくってたらすぐになくなるのよ!?」
「わ、わかりました」
「・・・」
「でもほんとに大丈夫なんですよ。仕事で追加報酬があって、その範囲でしか使ってないですし」
「・・・」
「すみません・・・」

 男はしょんぼりした。
 黙って持って行ったり、これぐらいで機嫌が取れると思ったのかと言われるなど、いろいろと想像はしていたが、まさか説教されるとは思ってもみなかったのだ。

「なに謝ってるのよ。バカみたい」
「・・・」
「ほ、本当にもらっていいの?」
「・・・はい」
「それじゃ・・・ありがたくいただくけど」
「あの・・・」
「なによ」
「俺、ちょっと出かけてきましょうか?」
「え?」
「箱とかいらないですよね。ここで開ければホテルだから捨ててもらえるし、それに俺も新しくパソコンとか買うとウキウキしてすぐに開けたくなるんですよ」
「パソコン?」
「俺の場合はバルクやジャンクパーツで組むんですけど、たまに既製品を買ったりすると、店から持って帰る間も待ち遠しくて。ノートPCやタブレットなんかだと喫茶店に寄って、そこで開けちゃったりするんです。マニュアルを読みながら、コーヒーを飲んだりして何時間も居たりして。そんなことをしてるなら早く帰ればいいのに、ついつい店員さんにコンセントを使わせてもらっていいかなんて聞いて、充電まで始めちゃったりするんです」
「き、気持ちは分からないでもないけど・・・」
「家に着く頃にはすっかりカスマイズまで出来てて、もう自分専用機になってるんですよね。欲しかったものほど、すごくわくわくするんです。だから、ここで箱とかパッケージとか開けて、いらないものは置いていっていいですよ。ああ、でもネット回線の設定は自宅の方がいいです。ここじゃパブリックですから、いつも使える自分の回線を設定しないとあとで面倒になると思います。それから、フィルムを貼るのは携帯電話ショップでもやってくれるそうです。きれいに貼ってくれるらしいですよ」
「そ、そう・・・」

 ニコニコしながら興奮気味にまくし立てる男を見て、美砂は圧倒されていた。
 まるで子供だ。
 自分にしたことは許せないが、人が良いんだろうとも思った。
 自分がもらったプレゼントみたいに嬉しそうな話し方、貰った人の気持ちを理解する姿勢は良識を備えた人間に見えたのだ。


第53話に続く

2017/01/10 初版

前話へ ≪─≫ 次話へ
書庫に戻る
▲Page Top▲

Profile / Library / Library2 / Gallery / Comic / Column / Occult Post / Kaku-duke / Warehouse / Blog / Link

2010-2016 (C) e+- - All Rights Reserved.2010-2016 (C) e+- - All Rights Reserved.

inserted by FC2 system