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Doll Master 3 第58話
飯場 正臣 feat.大和武尊

 次の日、半田にやめてくだされぇぇぇと言われながらも、電話で何度も礼を言った男は、ノートPCにずっと向かっていた。
 <コロニラ・バレンティナ・バリエガータ>宛てにメールが来たのだ。
 かなり困難な仕事だった。
 もはやハッカーの仕事を超えていると言っても過言ではない。

 国内の半導体メーカーがロケット開発企業に目を付けて産業スパイを送り込んでいたのだが、そのスパイが情報を取得しているうちに、どういうわけか米国クァンティコにあるデータサーバーに侵入してしまったのだという。
 話自体はよくある<潜り過ぎ>なのだが、今回のケースは背景が違った。

 クァンティコのデータベースにはプロのハッカーでもまず侵入はしない。
 その地域にあるというだけで、個人や商店、一般企業に至るまで、ハッキングは避けるのだ。

 小さな田舎町だが、そこにはFBIの教育センターがある。
 新人の連邦捜査官がそこで訓練を受けるのだが、実情はそれだけではない。
 捜査手法、プロファイリング、装備品の開発までが行われており、敷地内には麻薬取締局までがあるのだ。
 世界中のハッカーが二の足を踏む理由はここにあった。

 実際に行ってみれば、さらに驚愕するだろう。
 車でも徒歩でもいい。
 町に入ろうとすれば、検問所を通らなければならない。
 自動小銃を携えた兵士が守る検問所なのだが、彼らは火器を持っていなくても、肉体そのものが殺傷兵器と言える。
 いきなり撃たれるようなことでもない限り、彼らの検問は破られない。
 そもそもこの町には巨大な海兵隊基地があるのだ。
 年に2度は実戦に赴く、常に最前線に立たされる部隊まで常駐しているとなれば、誰でも不法にお近づきになろうとは思わないものだ。

 問題はここだ。
 徒歩であれ、戦車であれ、それがネットワークであれ、ちょっとやそっとでは侵入できないはずのクァンティコに、ロケット開発企業からはすぐにアクセス出来た。
 考えられるのは蜜月にあるという背景だけだろう。
 兵器転用なのか、防衛目的の技術共有なのか。
 真相ははっきりせずとも、アクセスできてしまったという事実がある。

 クライアントは、そのアクセス履歴を消してほしいと依頼してきた。
 すでに何人かに断られているらしい。
 報酬は破格で、一般的なサラリーマンの年収を約10倍にした額。
 その報酬額を見ても、およそまともな依頼ではないのが分かるというものだった。


第59話に続く

2017/02/21 初版

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