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Doll Master 3 第64話
飯場 正臣 feat.大和武尊

「そうですねぇ・・・女性は・・・良い匂いがしますね」
「・・・」
「あと柔らかいです。オシャレですし、色彩感覚が男性よりも優れていると思います」
「そういうことじゃなくて・・・ハァ」
「あてはまらない人もたくさんいると思いますよ。男にもピンからキリまでいるんですから」
「そうじゃなくて、女に何が分かるとかって思う?」
「逆に女性のことは何も分からないとは思います。心理がまず分かりません。でも、女性に何が分かるんだって言うなら・・・男性の方が何にも分かってない人は多いと思いますよ」
「そうなの?」

 今度は美砂が不思議に思った。
 男のことを最初はレイプ魔だと思ったほどだ。
 女性の自由に対して寛容だとはとても思えなかったのだ。
 男性至上主義とは逆の事を言い出している。

「男が世の中を動かして、今の世界ですよ? 今のテイタラクですよ? 古代エジプトのハトシェプスト女王なんて、外交より戦争って時代に、争いのない貿易国家を築いていました。日本では卑弥呼のいる時代に戦はなく、男が実権を握ったらすぐに戦争が始まりました。戦争を始める奴らは報告を聞くだけ。実際に戦うのは戦争なんてしたくない下の人達だけ。他人を自分よりも上か下かでしか見ることの出来ない奴なんて獣と同じでしょう。男の方が暴力的ですから特にそう思いますね」
「それじゃ、女が世界を動かせばうまくいくと思ってるの?」
「いえいえ、さっきの話と一緒です。適材適所が一番良いと思います。欠点を補うのは人材ではなくシステムを塗り替えた方が早いですから、長所を伸ばすんです。女性の長所を活かし、とうてい男には出来ない、理解できない機微のバランスを取ってもらいます。男性には得意分野を伸ばして任せる。それぞれの性別でさらに適任者を選んでいけば研ぎ澄まされますよ」
「だんだんそうなっていくと思う?」
「非常にゆっくりですが、確実になっていると思います」
「それじゃ、何でまだ旦那みたいのが教授をしていられるの?」
「その学術分野では右に出る者がいないからですよ。プロフェッショナルだからです。それでも時代遅れの女性軽視をしているじゃないかって思うかもしれませんが、全てにおいて右に出る者がいないなんて人物は存在しません。魚料理のプロだからって魚釣りが得意だとは限らないんです」
「う〜」
「この世には不必要なものなんて存在しませんよ。存在できないんです。そんなに女性が劣っているというなら、とっくの昔に絶滅しています。そうなったら子供が生まれないから男も滅びます。こんなくだらないこと誰でも分かりますから、旦那さんは言葉がキツイだけなんだと思いますよ。本気で男尊女卑を掲げるなら、繁殖は他人に任せて、自分は男と結婚すりゃ良かったんですから」

 「お待たせしました〜」という明るい声と共に料理が運ばれてきた。
 男にはカレーうどんと漬け物にごはんのセット、美砂にはハンバーグとエビのテルミドールにサラダのセットが置かれる。
 体格の割にがっつり食べるんだなぁと、男は感心した。

「食べましょうか」
「いただきます・・・今のもこの話に関連づけることができますね」
「もぐむぐ・・・どういうこと?」
「彼女は俺が男だというだけで、カレーうどんを先に置きました。上座に座っているのが美砂さんなのに」
「もぐもぐもぐ・・・」

 美砂は空腹だったのか、料理にパクつきながらも、男の話をじっと聞いている。
 珍しいことだった。

「誤魔化す方法はあるんです。カレーうどんのお客様は? と聞けば、トレーから置きやすい順にしているだけですよってジェスチュアになりますからね」
「それ、たまに聞かれるわね」
「レディ・ファーストの国ではありえないことです。もっとも気取ってないラフなレストランなんかでは、合理性を重んじる国だと置きやすいところから置いていったり、全部手前に置いて、自分のを持っていってくれってところも多いですけど」
「そういう風習まで改革しないとフラットにならないなら、何百年もかかるんじゃない?」
「これだけでしたら来月にも風習を断ち切れますよ」
「どうすんの?」
「全店セルフサービスにするんです。ブッフェスタイルなら残る風習は客の感性だけになります」
「なるほどね〜」

 男の声が漏れ聞こえてくる客の何人かも、美砂と同じような顔をしていた。


第64話に続く

2017/04/04 初版

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