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Doll Master 3 第65話
飯場 正臣 feat.大和武尊

「ふ〜〜」
「ごちそうさまでした」

 ぺろっと平らげた二人は、食休みがてら、話を続けた。

「なんかスッキリしたわ。ちょっとだけど」
「そりゃそうでしょう。俺がしゃべくってましたからね。美砂さんはスッキリしてないはずです」
「面白かったからいいわ」
「だめだめ。今度は美砂さんの番です。グチ大会と行きましょう。ガス抜きですよ」
「そんなの面白くないでしょ」
「俺は犯罪者ですよ。ドン引きされたらどうしよう・・・なんて相手じゃないと思いますが」
「う、うん・・・」

 最初はぼそぼそと家事が面倒になる時があるだの、旦那があまり話を聞いてくれないだのと遠慮がちだった美砂だが、だんだん勢いが付いてきて、近所のスーパーの店員の態度に至るまでブチまけ始めた。

 息つく間もなく愚痴りまくった美砂は、一通り話し終えるとぜえぜえ言いながらオレンジジュースを取りに行った。

「(ずいぶんストレスが溜まってたんだなぁ・・・)」

 男は黙って1時間近く聞いていた。
 さっきの彼女は話を聞きたがっていた。
 だから、男もがんばって話をした。
 だが、今度は違う。
 美砂はストレスを発散させようとしていた。
 だから、正論やアドバイスなんか必要ないと男は思い、聞き役に徹したのだった。

「(そういや<Doll Master>もストレス軽減について、催眠で応用できないか研究していたな)」

 男は会ったことのない心の師匠も同じような体験があったのか気になった。

「きっと、あったんだろうな・・・」
「何が?」

 気付くと美砂が戻ってきた。
 トイレにも行ってきたのか、ルージュが引き直されている。

「化粧直しを?」
「あんたのためじゃない。私が恥ずかしいから」
「なるほど」

 ちょっと聞いただけなのに、間髪入れずに“あんたのためじゃない”と言ってくる美砂に、男は苦笑した。

「(彼女にとっては無理矢理オナニーショウさせた犯罪者だからなぁ・・・ま、本当の俺もハッカーだからやっぱり犯罪者なんだけど)」

 男が再び苦笑すると、美砂が眉を吊り上げた。

「なんて顔してるのよ」
「い、いや・・・俺には難しくて狩りに行けないだろうって思っただけです」
「やってみる?」
「いいですいいです!」

 とっさに誤魔化したのだが、美砂は3D乙を取り出した。

「食休みにここで一狩りして行けばどうです?」
「昼間、モソハソ女子会があったからだいじょぶ。少しは目を休ませないとね」
「もう女子会を開いたんですか」
「2週間は続くんじゃない?」

 どうやら、狩り友たちは美砂の家に通うらしい。
 旦那さんが出張中だから。自分たちもちょっとした息抜きが出来る。
 そういうことらしい。
 なるほど。
 それで夕食を作るのが面倒なのか、疲れてしまったかでファミレスに来たのか。
 男は合点がいった。

「それじゃ帰ろうかな」
「俺も帰りますよ」

 二人は一緒に店を出た。
 会計は男が支払い、美砂が出した千円札は強硬に断って引っ込めさせた。
 稼いだら使う。
 そのジンクスを守りたいのだと説明し、仕事が入ってくるのもそのおかげだと思っていると付け加えた。
 美砂に仕事を聞かれたらどう答えようか迷っていたのだが、聞かれなかった。

「ホテルに帰るの?」
「そうですね」
「向こうの方に用事があるから一緒に行く?」
「美砂さんが恥ずかしくなければ」
「離れて歩いてよね」

 美砂は笑いながら歩き出した。


第66話に続く

2017/04/11 初版

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