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ぼくかの。 第七話(前編)
桃乃瀬ゆかり

 ボクはとうとうオナニーを智秋お姉ちゃんに教えてもらう事が出来た。
 ・・・いや。
 あの時もっと強く頼めばそれ以上の事も教えてもらえたかもしれない。
 だけど後悔はしていない。
 正直に言うと止めてもらえてホッとしている。
 あの時、本気でお姉ちゃんとSEXしたいっていっていたらお姉ちゃんはどうしたのか・・・ボクを受け入れてくれていたのだろうか。

「うわぁ、でもやっぱり実のお姉ちゃんとSEXをしちゃまずいよな。おかずにならいいって言ってたし・・・でも、おかずにするなら由衣ちゃんか、理恵ちゃんが・・・」

 って、うわ、ボクは何を想像してんだろう。
 またおちんちんがちょっとおっきくなってしまった。
 ボクのえっち。


・・・


 翌日の朝、学校に登校したボクは下駄箱に入れられた一通の封筒を見付けた。
 ファンシーさのかけらも無いぺらぺらの茶色の封筒。
 これはラブレターで無い可能性が高い。
 でも万が一って事もあるので、誰にも見つからないようにすぐに鞄にしまう。
 冷やかされたら恥ずかしいし。
 次の休み時間にこっそりトイレで開けてみる。
 中には白い無地の便箋にものすごく丁寧で綺麗な字で一言だけ書かれていた。

「今日の放課後に図書室で待ってる」

 差出人は野都麻美子、ボクのクラスの学級委員長をしている女の子。
 ・・・そして、あの日。
 ボクと朋子さんのえっちを目撃していた女の子だ。



ボクと野都委員長



「よお、ヒロ。お前もうんこか?」
「あ、健一」

 手紙を確認してトイレ(個室の方)から出てきたところに、ちょうど入ってきた健一に見られてしまった。
 まさか手紙を確認したとも言えずにあいまいな表情で黙っていると、健一は急に納得したという表情でボクの肩を叩く。

「・・・ははーん。ヒロ、さてはニーオナだろ。ニーオナ。ずいぶんとさっぱりした表情をしてるからな、言わんでもわかる」
「ちょ。健一、何言ってんだよ」
「なんだ、恥ずかしいのか? 気にすんなって、そんなもん誰でもやってる事だぞ。今やってない奴だって、ちょっと覚えるのが遅いだけで、覚えりゃ四六時中やりテーゼ抜きテーゼ出しテーゼってなもんよ」
「なんだよそれ」
「健康な中2男子の三大テーゼだよ。知らんのか?」

 健一はニヤニヤしながら手を上下に振るしぐさをする。

「知らないよ、そんなの。だいいちボク達まだ小5だよ」
「まあいい。で、誰をおかずにしたんだ?」

 おかず。
 お姉ちゃんが言っていたオナニーをする時に使うもの。
 写真だったり、マンガだったり、誰かのえっちな姿を妄想しながらだったり。

「・・・してないよ、オナニーなんて」
「隠すな隠すな。ヒロなら堀田が本命、姫宮が対抗って言ったところかな?」
「あはは、二人とも可愛いもんね」

 二人との秘密のいたずらを思い出すとついにおちんちんが反応してしまう。

「図星だな。だが、好きな子や可愛い子をおかずにしているうちはまだまだニーオナの初心者、素人だぞ。空想ニーオナってのは言ってみれば己のイマジネーションとの戦いだぞ。プロとしてはやはり意外性が欲しいだろ。なんせ空想は自由だからな」

 オナニーにプロも素人ないだろうとは思ったが、健一があまりにも得意そうに語るのでちょっと興味が沸いてしまう。

「じゃあ、プロの健一は誰をおかずにするの?」 「おうよ、最近ではクラスの女子は全員平等におかずにしてやったぞ。様々なシチュエーションを想像しながら、一日一人づつおかずにしていって半月もかかっちまった。だがこれはまだ基本。後々は、若い女教師に高学年の女子。全てを制覇する予定だ」
「凄すぎるよ健一」

 さすがに低学年の女子はおかずにしていないと聞いて少しだけホッとした。
 倫理的にダメな気がするし。

「それでは、お待ちかね。クラスのおかずランキング最新チャート第一位の発表だっ!」

 なんだよ最新チャートって。

「うん」
「ジャジャーン。今週の第一位・・・委員長の野都だ」

 ドキっとした。
 封筒の中を見られたわけでもないのに何で野都さんの名前が出てんだろう。
 健一は超能力者なのか?

「なんで、野都さん?」
「うむ。解説しよう、彼女は成績は学年でもトップクラス。だが、少々地味で、目立たない」
「それだったら」
「・・・だが、それがいいのだよ。あんまりオシャレに興味のなさそうな野都なら、きっと地味なぱんつをはいているに違いない。グンゼの白パン。しかもほんのり黄ばんだ匂うやつをだ。うむ、想像してたら起った」
「・・・やっぱり、ぱんつなんだ」
「野都が実際にはどんなぱんつをはいているかはわからんが。想像通り、地味ぱんであろうと、まさかのドエロい黒のスケスケパンティであろうと、意外性があるだろ。妄想していて飽きん。おぱんつ様に貴賎無し! 目を閉じると、そこにはぱんつ。かぐわしい芳香を放つぱんつ。ぐははははっ、野都の地味ぱんつorスケスケ黒パンティが見たいっ、嗅ぎたいっ、包まれたいぃぃぃ」

キーン コーン カーン コーン

「あ、予鈴だ」
「なにぃ、しまったぁ。うんこする時間がないじゃないかぁ」
「じゃあボクは・・・先に教室戻ってるから」
「あああ、ヒロ。薄情なっ───ええい、こうなったら次の休み時間まで我慢だ〜」

 この後、授業中にうんこを漏らした健一は泣きながら早退していた。
 どうでもいいけど。


・・・


 放課後に訪れた図書室はとても静かで、廊下にまでエアコンの音が響いて聞こえていた。
 図書室の中を覗いてみると少しだけかび臭いような紙とインクの混じり合った匂いがただよっている。
 以前に古い新聞記事の資料を調べる課題が出た時に使った事はあるけれど、本を借りる習慣のないボクにとっては図書室は未知の領域だった。
 司書の先生と、何人かの生徒(全体的には高学年の女子が多いけど男子も数人いた)姿が見受けられる。
 とにかく静かで、マンガで「シーン」という擬音が使われるとしたらまさにこんな状況だろうなどと考えてしまう。
 あの便箋がいたずらでなければここに野都さんはいるはずだ。
 クラスでの野都麻美子さんは(同級生だけど、何となく呼び捨てにしにくい雰囲気がある)由衣ちゃんのように特別大人っぽい女の子でもなかったし、理恵ちゃんのように目立つ(注目されていると言うより、ぎゃーぎゃーとうるさいから)子でもない。
 セミロングの髪の毛をポニーテールに束ねてちょっと古い感じの落ち着いた黒いフレームのメガネをかけている。
 休み時間になると、大人の女の人が見るようなファッション雑誌を広げている由衣ちゃん、MP3プレーヤーで音楽を聴いている理恵ちゃん(どっちも校則違反なんだけど)とは違い次の授業の教科書を広げ、予習をしている姿が印象的な子だった。
 そんな、野都さんがボクに何の用なのだろう。
 意を決して図書室に入って行くと、司書室前の貸出カウンター席に野都さんがちんまりと座っていた。
 ボクの姿を見つけると、少しホッとしたように微笑んでちょいちょいと手招きをする。

「あ、あの手紙・・・」

 貸出カウンターに駆け寄り、少し大きな声で野都さんに話し掛けてしまったボクに図書室にいるみんなの視線が集まってしまう。

 ぴと・・・。

 立ち上がった野都さんは、とっさにボクの唇に人差し指を押し当て「静かに」と目で訴えかけてくる。
 静寂が戻りそれぞれの視線が本に戻ると黙って頷き、野都さんはニッコリ笑ってボクの唇に触れていた人差し指をそっと自分の口元に持って行き、ペロって舐めた。
 それって、間接キッスじゃん・・・。
 うわ、野都さんってこんなに可愛いかったっけ・・・。
 普段の物静かな野都さんの印象と違う大胆な行動にボクはゾクっとしてしまった。
 意外性。
 健一の言っていた事ってこういう事だったんだ。
 野都さんは貸出カウンターの隣にボクの為のパイプイスを出してくれる。
 隣に座ったボクにだけ見えるように、サラサラとメモ用紙にペンを走らせる。

『いいですか。静かにしていて下さい、何があっても絶対に声を出してはダメですよ』

 と書いてボクに見せた。
 黙って頷く。

『来てくれてありがとう』

 黙って頷く。

『実はお願いがあります』

 黙って頷く。

『私と───えっちな事をしてください』

 黙って頷け・・・るわけがないだろう!
 あわてて野都さんの顔を見ると、冷静さを装いながらも目は潤み頬には朱みがさしていた。
 耳は真っ赤だった。
 続けてペンを走らせてる。
 少しだけ文字が震えている。

『高木くんに拒否権はありません』

 仕方ないので、目で何故と訴える。
 野都さんは深呼吸をすると新しいメモ用紙に文字を綴った。

『こんな事を言うのは卑怯だってわかっています・・・高木君が、朋子先生とお付き合いされている事も───』

 驚愕してしまい頷く事さえ出来ない。

『朋子先生と高木くんが───』

 野都さんはそこまで書いて、さらに心を落ち着けるように深呼吸。

『保健室で───』
『あの時に───』
『二人でえっちな事をしていた事も知ってます。私、見ちゃったんです───』

 見られていた!?
 ドキドキドキドキ。
 静かな図書室に響き渡りそうなくらいに激しくボクの鼓動が高鳴る。

『凄くびっくりしたけど、見ていたら───』
『すごく胸が切なくて苦しくなって』
『家に帰ってからも、目を閉じると高木くんと朋子先生の事が浮かんで』
『何をしても集中出来ないし、苦しいし』
『変な夢とか見ちゃうし───』
『あそこから、ぬるぬるしたのがとまらなくなって下着を汚してしまうし───』

 野都さんは少し肩を震わせながら、メモにペンを走らせてる。
 呼吸も少し荒くなって、目つきもさっきよりとろーんとしている。

『だから、高木くん。私にもしてもらえませんか』
『朋子先生にしたみたいに』
『お願いします』

 そこまで書くと野都さんは黙ってボクを見つめる。
 ・・・頷くしかない。
 この前までもボクも同じ苦しみを味わっていたから。

『・・・ダメですか?』

 ボクは初めて首を横に振った。

『よかった』


・・・


キーン コーン カーン コーン

 ほんの数分だったが、その時を待っていたボクにはずいぶんと長い時間に感じた。
 ようやく鳴った下校時刻を知らせるチャイムが図書室の重苦しい静寂を打ち破った。
 それまで静寂が包んでいた図書室の中に本を閉じるパタンという音、本棚に戻されるガタガタという音、生徒同士が話すざわざわとした喧騒が図書室内に広がっていく。
 野都さんは文字を書いたメモ用紙を束ねると、急いで自分の鞄にしまい込みカウンターの整理を始めた。

「高木くん。もう少し待っていて下さい」

 ボクは野都さんが座っていたパイプイスを片付けるのを手伝いながら、思わずそっと座席部分の匂いを嗅いでしまった。
 残っていた温もりと湿り気の中に感じた椅子のビニールとは違う微かな匂い。
 紅茶にマーマレードを溶かした時のような甘いような酸っぱいようなキュンと心が苦しくなる香り。
 由衣ちゃんとも、理恵ちゃんとも、朋子さんとも、智秋お姉ちゃんとも違う野都さんのあそこの匂い。
 野都さんの後ろ姿を眺めなから、ボクのおちんちんはぱんぱんに膨らんでいた。


・・・


 図書室の横にある女子トイレの中にボクはいた。
 男子が絶対に入る事が出来ない秘密の場所。
 図書委員の仕事が終わった野都さんが、ボクを連れて向かったのは、学校の中で生徒が最も利用する頻度が低い、図書室横の女子トイレだった。
 しかも放課後、図書室も閉まった後ならば立ち寄る生徒はまずいないだろう。
 とはいえ女子トイレだ。
 どうにも居心地は悪い。

「さて、どうしようかな・・・」
「あ、あの・・・高木くん」

 狭い個室の中でボク達は向かい合うように立っていた。
 洋式トイレは十分なスペースがないためどうしても密着してしまう。
 保健室のベッドで朋子さんとしたような体勢になる事は無理がある。
 トイレを椅子代わりに上手く使えないかな。

「なに?」
「あの、よろしく・・・。お、お願いします・・・」

 野都さんは小さく震えていた。
 あんな事言っていたけれど、やっぱり怖いんだ。
 ボクがちゃんと教えてあげなくちゃいけない。
 朋子さんやお姉ちゃんがボクにしてくれたように。

「ねえ、野都さん。さっきボクと朋子さんが付き合っているって紙に書いていたけど、ボクと朋子さんは付き合ってるわけじゃないんだ・・・確かにちょっとえっちな事もしちゃったけどさ。・・・実はボクもずっと悩んでたんだ。・・・えっちな事いっぱい考えちゃったりするとすごく胸が苦しくなってドキドキしてしまって」
「はい」
「それで、とうとう苦しくなって倒れちゃった・・・」
「・・・あの日、ですね」
「うん。だからボクも野都さんの気持ちは良くわかるよ。まるで自分が自分で無くなってしまう様な感覚があって、えっちな事しか考えられなくなってしまう」
「はい、私もそうなんです。あの日・・・見てしまってから・・・何をしていても、えっちな事が浮かんできてしまって」

 女の子だってオナニーはするってお姉ちゃんは言っていた。
 だったら、野都さんにもオナニーを教えてあげればいい。

「野都さん」
「はい」
「えっと・・・ボクが野都さんを楽にしてあげる・・・スカート、脱いでもらっていいかな」
「・・・うん」


第七話(中編)に続く

2010/07/26 初版
2011/01/04 『Aliceの図書館〔新館〕』にて掲載

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