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二人の時間 〜FUTARI NO TOKI〜
桃乃瀬ゆかり

 ボクは蒼(ソウ)と出会えた事はとても感謝している。
 それと同時に、蒼の事を可愛いとも思っている。
 蒼の髪はさらさらしているし、とってもいい匂いがする。
 その匂いを嗅ぐと、決まってボクの胸はドキドキと高鳴ってしまう。
 だけど、蒼はぼくと同じ男の子。
 ちゃんとおちんちんだって生えているのを、ぼくは知っている・・・。
 でも、ぼくは男の子の事が好きなわけじゃない。
 他の男の子に対しては全然ドキドキしたりしないし、クラスの可愛い女の子のことも気なる。
 これは嘘じゃない。
 ただ、蒼だけはぼくにとっては特別な存在。
 男の子とか、女の子とかじゃなくて、ぼくは蒼の事が好きなんだと思う。




 蒼こと保科蒼一郎と最初に出会ったのは、今からちょうど一年ほど前。
 小学四年生の夏休み前に、蒼はぼくのクラスに転入してきた。
 お父さんの転勤の都合だという。
 ぼく達は、たまたま席が隣同士になった。
 教室に入ってきた蒼を初めて見た時には、ボーイッシュな女の子なんだと思った。
 白い肌も、少し長めのさらさらの髪も、その細い手足も、吸い込まれるようなキラキラとした瞳も、クラスの女の子の誰よりも可愛かった。
 いつも無口で大人しくて、休み時間になると一人で窓の外を眺めている蒼の事がすごく格好がいいって思った。
 ぼくはすっかり蒼に魅了されてしまっていた。
 授業中も、休み時間も、給食の時間もぼくは蒼の事を目で追ってしまう。
 学校から帰って自分の部屋にいたってそうだ。
 頭に浮かんでくるのはクールに微笑む蒼の姿ばかり。
 蒼は実は女の子で、きっと何かの理由があって男装をしている。
 そうに違いない!
 とうとう、そんな馬鹿げた妄想さえ浮かんできてしまう。
 でもすぐに、やっぱり蒼は男の子なんだと思い知らされた。
 体育の時間、プールの授業で女子更衣室ではなく、ぼくと一緒に男子更衣室にいたから。
 なぜだか少しだけがっかりもしたけれど、これは神様が与えてくれたチャンスだと思った。
 男同士なら気軽に友達になれるって。
 緊張を押し隠しながらぼくは蒼に声をかけた・・・。

「えっと・・・石川くん。だよね・・・何?」

 不思議そうに首をかしげる仕草がとても可愛らしかった。
 けれど、声をかけた後で、話す内容を全く考えていなかった事に気が付いたけど。

「保科くんってさ可愛いよね」
「えっ!?」
「あ、いや。そのね・・・」

 とっさに頭に浮かんだ事と言えば蒼が教室に入ってきた時に女の子だと思ったという事だけだった。
 そのことを話すと、蒼は少し困ったように笑った。

「・・・きみも最初ぼくの事を女の子だと思ったんだ」
「保科くんが凄く可愛かったから。あ、その、変な意味じゃなくてね・・・、も?」
「ああ。前の学校で男女ってからかわれていてさ、言われ慣れているんだ。いいよ、気にしないで」
「ごめんね。嫌な事思い出させちゃったかな」
「別にいいって・・・可愛いのかなぁ。ぼくって」
「うん。可愛いよ、凄く」
「えへへっ。そんなふうに言われたのは初めてだよ。でも、実をいうとぼくもはじめて見た時に石川くんの事、ちょっと女の子みたいだなって思ってたんだ」

 意外といえば意外。
 確かにぼくはよく「男らしくない」とお姉ちゃんから言われる。
 そりゃそうだよ、だってお姉ちゃんががさつ過ぎなんだから。
 男らしくなりたくても、がさつなお姉ちゃんに振り回される日常じゃあ、なかなかなれない。
 家の手伝いで洗濯物をたたむのも、晩御飯のお使いに行くのもぼくにまわってくるんだもん。
 でも、他人から「女の子みたいだと思った」と言われたのはそれが初めてだった。

「だから、細かい性格が男らしくないってお姉ちゃんには言われるけどね」
「大雑把なら男らしい。っていうのは違うと思うけど」
「うーん」
「・・・ふふふ。でも、こうして着替えをしている石川くんは日焼けしてて凄く男っぽいよ。少し羨ましい」
「そうかな」
「ぼくも石川くんみたいに日焼けしてみようかな」
「あ、ぼくの事は石川くんじゃなくて呼び捨てで晶良(アキラ)でいいよ。これからはぼくも蒼一郎って呼ぶから」
「・・・だったら、ぼくは蒼(ソウ)って呼んで」
「なんで? 蒼一郎って、いい名前だと思うけどな」
「そうかい? 蒼一郎って古臭くて嫌いなんだ。どうせなら、もっとカッコいい名前が良かったよ。晶良とか」
「アキラってカッコいいかな? じゃあぼくは蒼って呼ぶから、蒼はぼくの事はアキラって呼んで」 「・・・。アキラも悪くない・・・けど、二人だけの時はアキって呼ぶ事にするよ」
「アキ?」
「そうだよ。お互いに名前の上だけ。二人だけの呼び方だよ」
「うん。そうしよう、それと・・・友達になってもらえるかな蒼」
「もちろんオッケーだけど。っていうかぼくはもう友達だと思っていたけど。アキは違うのかい?」
「ううん。蒼はぼくの大切な友達だよ」

 きっとその時から、ぼくたちはお互いに男の子らしくない部分に惹かれあっていたのかもしれない。
 ぼくたちはそれをきっかけに、急速に仲良くなっていった。
 まずは友達として。
 蒼は普段クールで大人しそうに見えるけど、明るくて、元気で。
 仲良くなってからはどちらかといえば、ぼくの方が振り回される事が多かった。
 もっとも振り回されるのはお姉ちゃんで慣れていたし、蒼に振り回されるのはとても楽しかった。

「まずはアキの生まれ育った町を案内してよ。ぼくはアキの事、もっと知りたいんだ」
「うん!」

 二人でゲームをして、マンガを読んで、サイクリングもして。
 下らないバカ言ったり、陽が暮れるまで遊びまわったり、時には悩みを相談したり。
 初めて、親友ってこういうもんなんだな、と実感した。
 そうしているうちに、ぼくはどんどん蒼の事が好きになっていった。
 友達として好きという以上に。
 でも、こんな気持ちは誰にも話せない。
 男の子の事が好きかもしれないなんて話した瞬間に「変態」の烙印を押されてしまうと思った。
 それが怖くて、蒼といると楽しい半面で、切なくなってしまう。
 どこかにモヤモヤした気持ちをずっと抱えながら、蒼との日々を過ごしていた。
 ぼくが「運命の日」と呼んでいる、その日までは・・・。




 その日は日曜日だった。
 まだ夏に近い陽気が、晴れ間いっぱいに広がるある秋の日。
 ぼくは、朝からお姉ちゃんに言いつけられたお使いで目を回していた。
 そんなお姉ちゃんから逃げるべく、お使いの帰りに蒼の家に寄ることにした。
 それまでも約束なしでお互いの家に遊びに行くことなんてよくあったし、小学生のぼくらはまだ携帯電話なんてものを持っていなかった。

「こんにちわーっ。おーい、蒼っ。遊びに来たよっ」

 鍵のかかってない、蒼の家の玄関を開け、玄関から部屋に向かって声を張り上げる。
 ・・・でも返事はない。
 おじさんとおばさんの靴はないけれど、蒼がいつも履いているスニーカーは、玄関の隅にぽつんと置かれていた。
 どうやら留守ではないみたいだ。
 もしかしたら、昼寝でもしてるのかもしれない。
 そんな風に考えたぼくは、勝手に蒼の家に上がった。
 蒼の部屋は二階にあって、廊下の奥の階段を上ればすぐだ。

「おーい、蒼。いるの? 寝てる」

 ぼくは、蒼の部屋のドアをノックしながら、もう一度声を掛けた。

「ん、んんっ、誰? ちょっと待って」

 変な声がする。
 奇妙に思いながらも、蒼が部屋の中にいることを確信して、ぼくは部屋のドアを開けた。

「おじゃまさせてもらってるよー」

 窓のない薄暗い廊下と違って、部屋に降り注ぐ太陽の光が、ぼくの瞳の中に飛び込んできた。
 視界が真っ白になる・・・。
 いわゆる、明反応ってやつだ。

「え、アキなの。うああんっ、ダメっ、今は入ってこないでっ」

 唐突に蒼の悲鳴が聞こえる。
 やがて、明反応になれたぼくの瞳が捉えたのは、ベッドに横たわる蒼だった。
 やっぱり、お昼寝してた・・・ワケじゃなさそうだ。
 ベッドに横たわる蒼は、女の子の格好をしていた。
 ツインテールに結わえられたウィッグ、ピンク色のキャミソール、フリルの付いた紺色のスカート。
 どこからどう見てもその姿は、男の子ではなくて女の子。
 しかも、とびきり可愛い美少女にしか見えない。
 あ、女装した男の子だから「男の娘」って言った方がいいのかな。
 ボーイッシュな蒼も可愛かったけど、こうして女装をした蒼はクラスメイトのどの女子よりも、やっぱりずっとずっと可愛いかった。
 ぼくは、その姿に見とれてしまった。
 まるで時間が止まったかのように、ぼくと蒼は見詰め合っていた。

「蒼・・・だよね。・・・実は蒼って、やっぱり女の子だったの?」
「・・・ううっ」

 突然、我に返った蒼は女の子みたいに顔を覆い隠した。
 そして、耳まで真っ赤にして泣き出した。
 ぼくはなんて声を掛けたらいいのか分からなくって、戸惑うばかり。
 泣いている蒼はめちゃくちゃ可愛いけれど、いつもみたいに明るく笑っている蒼の方が、ぼくは好きだ。

「・・・にならないで、アキ」

 ぼくがやきもきしていると、泣き声の隙間から、何かを蒼は言った。
 よく聞き取れないでいると、もう一度。

「ぼくを嫌いにならないでっ!」

 と、確かに言った。
 その言葉に、ぼくの胸がまた痛いくらいに締め付けられる。

「・・・嫌いになんかならないよ・・・。だって、すっごい可愛いもん!」

 ぼくは出来るだけの笑顔で言った。

「可愛い? こんな格好のぼくでも友達でいてくれる?」
「もちろんだよ」

 それを聞いた、蒼はようやく顔を上げてくれた。ホントに? という顔でぼくを見つめるから、ぼくはしっかりと頷いた。
 蒼の趣味のことを、ぼくは全然知らなかった。
 両親は、いつも忙しくしている人たちで、とくに週末は、ほとんど家に帰ってこないそうだ。
 そんなとき、決まって女の子の格好をするのだという。

「いつかアキには話さなきゃって思ってたんだけど。やっぱり恥ずかしくて」
「ねえ。蒼はどうして、女装するようになったの」

 そう尋ねたぼくに。
 蒼は少しだけ困ったように笑って。

「前にも話したと思うけど、以前学校でも女の子みたいな顔してるって言われてたんだ。でも、アキみたいに可愛いって言ってくれる人は誰もいなかった・・・おかまだ、男女だ、気持ち悪いってからかわれて、凄く嫌だった。だから、わざと女の子の格好して、『やっぱりぼくは男の子なんだ』って確かめたかった」
「そうだったんだ」
「でもね、女の子の格好して鏡の前に立ってみたら。ぼくなんだかすごく胸がドキドキしてきたんだ。おちんちんが、きゅーんってしてドキドキがとまらなくて」
「お、おちんちん!」
「うん。おちんちんだよ。それもアキに可愛いって言われてから、ぼくのドキドキはどんどん強くなっていったんだ。一緒に遊んでいていてもアキが隣にいると凄く苦しくて。えっちな事ばかり考えちゃって・・・アキは、えっちなこと考えたら、おちんちん固くならない? なるでしょ。でね、女の子の格好して、おちんちんをいじると、すっごい気持ちよくなっちゃって。そうしたらね、ぼく、もう女の子でもいいのかなーって思い始めて。それからは、アキの事を考えながら女の子の格好でえっちな事するようになったんだ」
「蒼・・・」
「えへへ。全部、言っちゃったっ。・・・変態だよね、ぼく。でも、アキはこんなぼくでも可愛いって言ってくれた」

 さっきまで泣いていたのが嘘みたいに、笑いながら、事も無げに言う蒼に、ぼくはちょっとだけあっけに取られた。
 蒼は付け加えるように「でも、ぼくはおかまじゃないからね・・・その、たぶん・・・」と言った。

「ねえ、この服はどうやって?」
「服はね・・・」

 蒼が着ている女の子の服は、インターネットで買うのだそうだ。
 そう言えばお姉ちゃんも、たまにインターネットの通信販売で洋服を買っていたっけ。
 うーん、機械音痴なぼくには、よく分からない。
 蒼の部屋のクローゼット、一番奥の方。
 いつもの男の子の服に隠れるように、何着か女の子の服があった。
 どれも、リボンやフリルをあしらった可愛らしいデザインのものばかりだ。
 お姉ちゃんが着る服とは違って、少女っぽさがあふれているような気がした。

「・・・。」
「ね、せっかくだからアキも着てみなよっ。絶対に可愛いからっ」

 ぽんっと両手を叩いて、蒼が言った。
 すごく悪い事を企んでいる時の顔だ。

「ええっ!? ダメだよ。だって女装だよ・・・」
「むうっ。ぼくの女装は似合ってない?」
「そりゃ似合ってるし、可愛いけど」
「なら大丈夫だよぉ。アキだってぼくは背も同じくらいだし、顔だってやっぱり女の子みたいだもん。ふふふ〜ん♪ ちょっと待ってて、予備のウィッグと、アキに一番似合いそうな服を選ぶから」
「えー、ちょっと待ってよ」
「ダメ、待たないよっ」

 そう言って、蒼はぼくの返事も待たず、クローゼットの中を漁りはじめた。
 その姿はどっからどうみても女の子そのもので、口調も普段の少しぶっきらぼうな感じが無くなっていた。

「・・・ねえ。蒼」
「なぁーに? アキ」
「口調完全に女の子だけど・・・」
「うー。こういう格好すると自然にそうなるの」

 これが蒼の地の性格なんだろう。
 しばらくして、蒼が選んだのは、真っ白なワンピースのドレス。
 ところどころに赤いリボンがアクセントとしてあしらってあり、もちろんフリルも完備してる。
 それに、予備のロングヘアのウィッグと、ピンク色の女の子用のショーツ。
 ぼくは、もうどうにでもなれって思って蒼に言われるまま、それらを着て、姿見の前に立った。

「・・・どう、変じゃない?」
「わあ、やっぱり可愛いね。まるでお嬢様みたいだよっ」

 ぼくの両肩を持って、鏡の前から逃げ出さないようにすると、蒼は嬉しそうに微笑んだ。
 姿見に映るぼくは、確かにどこからどう見ても女の子だった。
 ・・・目の前にいる女の子はまるで、自分じゃないみたい。
 いや、ぼくは男の子だから、目の前にいるのはぼくじゃなくって、でも女装したぼくで・・・ううっ、頭がこんがらがってきた。
 いけない。なんだか、ポーっとしてきた。
 鏡の中で恥ずかしそうに顔を染めて震える女の子。
 嬉しそうにぼくの肩を持って微笑む女の子。
 どちらも、本当は男の子だってことを忘れちゃうほど可愛いんだ。
 ぼんやりとした頭で、ぼくたちの女の子姿を見ていると、次第に腰の辺りが切なくなってきた。
 蒼が言った通り、「おちんちんがきゅー」ってしてくる。
 女の子の下着は小さくて、固くなっちゃったぼくのおちんちんが窮屈そうにしている。
 ともすれば、ショーツからはみだして、そのまま丈の短いスカートを持ち上げようとする。
 やばい、勃起してるのが蒼にばれたらやばいよっ。
 鏡の中に映る、女の子の姿をした自分と親友を見て、えっちな気分になったなんて知られたら、蒼はぼくを軽蔑しちゃう。
 ぼくは何とかして気を静めようとした。
 だけど、ぼくの目は鏡に釘付け。
 どんどん胸が高鳴って、おちんちんは固くなっていく。
 今度はぼくが泣きたくなってきた。

「あれれ? アキ。もしかして、おちんちん大きくなっちゃったの?」
「違うっ」

 目ざとくというよりは、明らかに不自然な形で持ち上げられたスカートに、蒼が気付かないはずはなかった。
 ・・・もうおしまいだっ!
 頭の中で恥ずかしさと自分への嫌悪感と、えっちな気分がごちゃ混ぜになった。
 蒼に軽蔑されたと思うと、情けなくなってくる。

「んふふー、隠さないでいいよ。アキも女の子の格好になって、えっちな気分になったんだね」
「・・・。」
「ほらぁ、恥ずかしがらないでいいよ」
「・・・。」

 蒼がぼくに向けた視線と言葉は、軽蔑なんかじゃなかった。
 蒼は鏡のぼくにニッコリと微笑むと、背後から左手でぼくのスカートをたくし上げた。
 カチカチになったぼくのおちんちんは、ショーツから少しはみだしていた。
 先端の包皮が少しだけ捲れて、ぴくぴくしてる。
 部屋の空気にさらされたおちんちんが、何かから開放されたいような衝動を感じて、むずむずしてきた。

「ぼくはアキにも気持ち良くなって欲しいの。アキのすごいおっきくなってて、くるしいでしょ?」

 蒼の問いにぼくはそっと頷いた。

「すごく変な感じがする」
「んふふ・・・ぼくが、アキのおちんちんを楽にしてあげるね」

 そういうと、蒼はおもむろに、右手でぼくのショーツをずらし、そそり立ったおちんちんを優しく握った。
 それだけで、むずむず感が体中を駆け巡る。

「ちょっと。蒼、やめてよ」
「だってこのままじゃ苦しいでしょ」
「ちょ・・・い、痛いっ。痛いって」
「え。ご、ごめん」

 ぼくは思わず、女の子みたいな声を上げてしまった。
 慌てて蒼は手を離す。
 蒼は手を離したのに、ぼくのおちんちんがびくびくびくってなる。

「こんなとこ擦ったら痛いよ・・・。」
「痛い? もしかして、アキってまだオナニーしたことないの?」

 ぼくの反応に蒼はちょっと驚いて見せた。
 聴いたことのない言葉。
 正直、言ってぼくはこの時。
 まだあまり性の知識がなかった。
 女の人の裸とか想像すると、えっちな気分になっておちんちんが固くなることくらいは知っていたけれど、その先のことはよく分からなかった。

「おなにー? なに、それ?」
「うそっ。・・・じゃあ、アキはまだ射精したことないんだ。んふふーん。じゃあ、ぼくが優しく教えてあげるねっ」

 蒼はまるで水を得た魚のように笑って、ぼくのおちんちんを上下にしごいた。
 包皮が少し捲れたりかぶさったりしながら、おちんちんの根っこの辺りから、ぞくぞくとした感覚が背筋を伝っていく。

「うっ、あっ、ああっ、うぁっ。ねえ、蒼」
「何?」
「はう、あう。ね、ねえ・・・蒼って、いつもこんな事してるの」

 立っていられないくらい気持ちいい。
 鏡に映るえっちな顔したぼく。
 ニコニコと微笑みながらぼくのおちんちんをしごく蒼。
 ダメだ蒼に逆らえそうにない・・・。

「・・・うん。こうやって、おちんちんをゴシゴシするの。手で握ったり、何か柔らかいものに押し付けたりするんだ。あんまり強くしたら痛いし腫れちゃうからから、最初のうちは優しくね。そうしたらね、すっごい気持ちよくなるんだよ。実はね・・・アキが来る前、ぼくもこの格好でオナニーしてたんだよ」

 そう言いながらも、蒼は手を休めない。
 やがて、初めて感じる快感に、ぼくのおちんちんの先っぽ、ちょうどおしっこが出る割れ目の辺りから、透明な液体がこぼれ始めた。
 おしっこじゃなくて、粘り気があるのか、つつーっと糸を引いてカーペットの上に小さなシミを作る。

「あ、あ、あ」
「あはっ。アキのおちんちんからえっちなお汁が出てきたよ」
「うぁ、あっ、ねえ。やめ、もう、やめてよ蒼っ。まずいよ、おしっこが出ちゃうようっ。もれちゃう」

 ぼくはたまらず叫んだ。
 おちんちんが弾けるような、何かを出したいような衝動が抑えられない。
 その感覚はおしっこをするときとよく似ていた。
 だけど、蒼はぼくのおちんちんをしごくのをやめてくれなかった。
 むしろ上下に擦るスピードをあげていく。

「んふふー♪ 大丈夫だよ、それおしっこじゃないから。男の子が気持ちくなったときにでるものだから。びゅっで出して、イっちゃっていいよ。楽になって」
「あ、ああっ、ふぁぁん。ダメっ、ダメ出ちゃう!」

 ぼくは一際、大きな声を上げた。
 全身を駆け巡るような気持ちよさ。
 おちんちんがぐちゅぐちゅと音を立てる。
 いやらしい気分が一気に高まって、おちんちんの根元がぎゅーっと熱くなった。
 そして、おしっこの出るおちんちんの先から何かが飛び出した。

 ビュッ、ピュルルっ。

 それは、蒼の言ったとおり、おしっこなんかじゃなく、白くねばねばしたものだった。
 ぼくはその時、まだ精液と呼ぶことさえ知らなかったけど。
 このとき初めて射精した、つまり精通したわけで、それは親友の男の子の手によるものだった。
 絶頂と一緒に勢いよく飛び出したぼくの精液は、鏡にかかって、そこに映るぼく達の姿をドロリと汚していった。
 プールを消毒する薬に似た精液の匂いは、ものすごくえっちで、なかなか動悸が収まらない。
 それは、まだぼくのおちんちんを握り締め、呼吸を荒げている蒼も一緒だった。

「まだ出てる・・・いっぱいえっちなミルクが出たね。アキ。そんなにおちんちん気持ちよかった?」

 頬をピンク色に染めながら、蒼がぼくに尋ねた。

「・・・うん。おちんちん・・・すごく気持ちよかった」
「ほらぁ、ぼくの手にもアキのミルクがいっぱいかかっちゃったよ」
「あ、ごめん」
「ううん。謝らないで。でも・・・こんなことしちゃって怒ってる?」
「怒ってないけど。びっくりした」
「・・・アキのえっちな格好みてたら、ぼくもう止まらなくなっちゃって。ほら」

 そう言って、蒼はぼくのお尻に腰を押し付けてきた。
 ドレス越しに蒼のおちんちんも固くなっているのが分かる。
 ぼくのえっちな姿をみて、蒼も興奮したんだ。

「・・・やっぱり変態だよね。ぼく」
「大丈夫だよ・・・嫌いにもならないし、怒ってもいないよ」
「んふふー。ありがとう。アキもえっちな男の子でよかった。・・・そうだ、アキの出したミルク味見しちゃお」
「ちょ! ダメだったら汚いって」

 手に付いたぼくのミルクをペロっと舐めて嬉しそうに蒼が笑った。
 その笑顔は今まで一番、可愛くて、また胸がドキドキする。
 こんな事は、してはいけないことだと思ったけれど。
 えっちな気分が抑えられそうにもなかった。
 一回の射精じゃ物足りないって、ぼくのおちんちんが言ってる。

「うっ・・・苦くてマズい」
「蒼、なにしてるんだよ」
「でも、アキのおちんちんまた固くなってるよ。んふふ、ぼくがアキのミルク舐めたの見て興奮した?」
「・・・そんなの舐めて、気持ち悪くないの?」
「うーん。不味いけど、アキのだと思うと・・・やっぱり興奮するかも。今度は一緒に気持ちよくなろっ」

 蒼の提案にぼくは逆らえなかった。
 ぼくだってもっと気持ちいいことがしたい。
 ぼくは蒼に誘われるままに蒼のベッドに横たわった。

「・・・で、どうするの?」
「ぼくがアキのおちんちんを、お口で咥えてみるってのは・・・ああん、そんな冷たい目でボクを見ないで」
「・・・ねえ。やっぱり蒼って・・・男の子の事が好きな人なんでしょ?」
「うっ、ヒドイ。アキのいじわる〜。ぼくが好きなのは男の子じゃなくてアキだよっ」
「同じじゃん」
「全然違うよー。こうしてやるぅ、えいっ」




 その日から、ぼくと蒼の関係は親友を超えてしまった。
 蒼の秘密はぼくの秘密。
 こういう悪戯に罪悪感が無いわけじゃなかったけど、好奇心と快感と蒼のおねだりには勝てなかった。
 お互いに、女装した姿を見せっこしたり、えっちなことをしたりする。
 エスカレートしていくぼく達の行為。
 ついには、どうしてもぼくのおちんちんを舐めてみたいと頼まれて。
 蒼の口の中にぼくの精液をぶちまけてしまった。
 こんなの勿論、本来は男の子同士でやることじゃないのは知ってる。
 もしも、蒼の両親やぼくの両親やお姉ちゃん、クラスメイトがみたら、卒倒するに決まってる。
 でも、蒼のことが好きだから、もうやめられそうにない。
 二人の時間がずっと続く事を願ってしまっているぼくがいた。


「二人の時間 〜FUTARI NO TOKI〜」終わり

2010/07/07 初版

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