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百物語 十一の語り
鈴鳴零言

 さて、ついに「学校の七不思議」の定番中の定番と言えるこちらのお話を・・・。

 ◆ ◇ ◆

 この学校には定番の七不思議ばかりが揃っている。

 理科室には「生きている人体模型」、
 音楽室には「誰もいないのにひとりでに鳴るピアノ」、
 美術室には「目が動く人物画」があり、
 図書室には「白い人影が浮き出ている柱」がある。
 体育館には「無人の体育館に響くバスケットボールの音」の話、
 階段には「ある時間になると13段になる階段」───といった具合だ。
 そして最後の一つ。
 トイレには「花子さん」がいる───。

 うちに伝わる花子さんの話はこうだ。

 午後3:33に、個室の3番目の扉を、
 コンコンコンと3回ノックすることを、3回繰り返す。
 そして「はーなーこーさーん。あーそびましょー」と言う。

 すると───か細い声で「はーい」と返事があるのだという。
 そこまではよかった。
 よくある七不思議だ。

 だが───。

 実際に返事があったとき、どうすればいいのだろう?
 その場に居合わせた皆は、パニックになってバラバラに逃げた。
 自分と同じようにどこかに隠れているのだろうか・・・。
 アレは「かくれんぼ」か「鬼ごっこ」のつもりなのだろうか・・・。
 今も少しずつ、何かの気配が近づいているのが分かる───。

 アレがよくある七不思議の花子さんと同じなのかはわからない。
 だけど───うちの学校のトイレには花子さんがいる・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 その名の通り、学校の七不思議の花形と言っても差し支えないでしょう。
 ただ、最近だとあまりに定番過ぎて、逆に語られなくなっているような気もします。
 現実的に見た場合、噂としてはあまりに怪異過ぎるのかもしれません。
 日常の中で偶然出会ってもおかしくない話のほうが、身近にある七不思議として信憑性が感じられる時代の流れではあります。

 さて、花子さんの呼び出し方ですが、大体次の通りの組み合わせからなっていると思われます。
 まず最初に「時間指定」があったりなかったりします。
 次に「扉の何番目を叩くか」と「叩く回数」があり、合わせて「男子トイレ」か「女子トイレ」かという指定が見られます。

 ここで一つ疑問がでます。
 あまりに「花子さん」というキャラクター付けが為されているためか忘れがちですが、花子さんは「こっくりさん」などと同じく何かを召喚する方法ということです。
 それにしては大概の話は呼ぶだけで、帰っていただく方法が全然出てきません。
 たまにある帰っていただく方法は、まず他の召喚の話の派生系であり、本来のものではなさそうです。

 花子さんの話の派生系に、呼んでから遊ぶまでを一連としているものもあります。
 その場合、かくれんぼか鬼ごっこであることが多いのですが、見つかる・捕まるとどこかに連れてかれてしまうという終わりになっています。
 いわゆる神隠しや生贄としての側面を考えると、元祖のお話に近いのかもしれません。

 では、これにて十一の語り「学校の七不思議・花子さん」了。


十二の語りに続く

2010/08/02 初版




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百物語 十二の語り
鈴鳴零言

 さて、今回は数にまつわるものを語ります。

 ◆ ◇ ◆

 この学校にはたくさんの七不思議が伝わっていた。
 もう少しわかりやすく言うと、あるサークルの七不思議、文化棟の七不思議、講堂の七不思議───といった具合に、大概のところで何かしら語り継がれている七不思議があるのだ。
 何故そんなにあるのかと言うと、中学ぐらいまでと違い、高校や大学になると離れた地域の者が集まってくる。
 すると、その地域ごとのローカルな七不思議も一箇所に集まるという理屈だ。
 それが長年語られているうちに、少しずつ根づいていった───というのが事の真相らしい。

 そんな中に、この学校でまず最初に教えられると言われる七不思議がある。
 その話は「七番目の話」とか「七番目」と呼ばれ、内容を簡単に言うと、

「ある七不思議は六つまでしか知ってはならない。七つ知ると、生死に関わるレベルの不幸に見舞われる」

 ───という話だった。
 少なくとも過去に「事故で死んだ人」と「半身不随になった人」がいるのは事実らしく、わざわざ試そうという気にはなれなくなる話だ。
 もちろん、そんな事があるわけが無い───と試した人もいて、実際に事故にあった人と、何も無かった人がいるという。
 そんな経緯もあり、「ある場所の七不思議」の説と「特定の七つの話」の説に解釈が分かれているそうだ。
 どちらにしても、とりあえず六つまでなら大丈夫らしい。
 ちなみに詳細を知ることが問題であって、タイトルだけ(概略までという説もある)なら、それぞれ全部を知っていても問題無いということだった。

 そんなわけで、詳細を知っていいのが六つまでで、すでに一つ知ってしまったので、五つまでしか知ることしか出来ない。
 怪談ばかりなら別にどうでもいいんだが・・・七不思議の中には願望成就の類も結構含まれている。
 試したくなるのも心理なのでちょっと悩みどころだ・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 「七番目の話」に共通するのは知ってはいけないということです。
 知ると「怖い目に遭う」「事故に遭う」「不幸がある」など、まずロクな目にあいません。
 ある話を伏せるため、七不思議を「六不思議」として噂を広めた───といった、実は「七番目の話」が存在するといった話もあります。

 知ってはならない───知らないほうが良い世界がある・・・。
 そんな教訓が含まれているのかもしれません。

 では、これにて十二の語り「学校の七不思議・七番目の話」了。


十三の語りに続く

2010/08/05 初版




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百物語 十三の語り
鈴鳴零言

 さて、続いてきました「学校の七不思議」シリーズですが、今回の語りにて区切りとなります。

 ◆ ◇ ◆

 いわゆる「学校の七不思議」と言うものがある。

 ───だが、それらの話はもちろん七つしかないわけではない。
 理科室、音楽室、美術室に図書室。
 体育館やプール、階段にトイレ───といった具合に、定番の話の舞台を挙げるだけでも七つ以上ある。
 それに七不思議は怪談・怪異の怖い話だけではない。
 「願いの木」と呼ばれるような願望成就のおまじない、「片葉の木・花が咲かない木」といった自然現象も不思議話の一つである。
 これにローカルなものや、学校以外の舞台でも聞き及ぶ同様の話を含めれば、話の数は確実に二桁に上る。

 そして───。

 やがて話は選別され、収束していく。
 歴史と背景に従い、事実と推測が交錯し、噂が噂を呼ぶ。
 流行りと廃りに翻弄されつつも、消えることなく根付いたもの。
 事実の一角のみが伝えられ、全体像が見えないまま現在に至るもの。
 事実が伏せられ、新たな噂となって浮かび上がるもの。
 時代の変化に伴い、新たにその座を獲得するもの。
 それらが「学校の七不思議」へと昇華するのだろう。

 学校の七不思議───。
 それは学校の歴史であり、背景であり、そこに人がいる証である・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 学校の七不思議を語ってきたなかで、ほとんど触れていないものがあります。
 それは願望成就のおまじないや、自然現象などの話です。
 怪談・怪異の類と違い、外部の者にはほとんど伝わってこない話でもありますが、そういった話にまで目を向けると、実に幅広い話が伝わっています。
 怪談ばかりに目を向けていて、実は見落としていた不思議な話。
 そんな話があなたの周りにもあるのではないでしょうか?

 七不思議というのは概ね七つの話に収束します。
 前回の語りにて、数が不特定の七不思議が出ていますが、話が八つ以上あるところはやはり少数派に属するでしょう。
 一時期、八つ以上の話があるため、その数に従った「○○不思議」という呼ばれかたが流行っているときがありましたが、すっかり聞かなくなったところからも、時代にあった噂が生まれ、収束する過渡期だったと考えられます。
 逆に三つや四つということもなく、やはり最終的に七つに落ち着きます。

 7という数字。
 それそのものが不思議の塊なのかもしれません。

 さて、始めにお知らせした通り、サブタイトルとしての「学校の七不思議」シリーズはこれで区切りとなりますが、今後も解説に派生系として出てくることと思います。
 それだけ学校は日常と非日常が隣り合わせの、怪異に満ちた場所なのです・・・。

 では、これにて十三の語り「学校の七不思議」了。


十四の語りに続く

2010/08/06 初版




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百物語 十四の語り
鈴鳴零言

 さて、今回はWebにまつわるお話です。

 ◆ ◇ ◆

 23:09───。
 ふと気づくと、デジタルの表示が23時を過ぎている。
 23時まで少々時間があったので、TVをラジオ代わりに流しつつ、適当に本を読んでいたのだが、暇を潰しすぎてしまった。

 起動してあったPCから、ネット接続のプログラムを実行する。
 いつも通りはじかれるだろうと思ったら・・・一発であっさりと繋がった。
 テレホタイムに入ったばかりだから、まだ混雑している時間だ。
 めずらしいこともあると思いつつ、チャットの常連となっている部屋に接続した。

 チャットでの雑談に夢中になっていると、不意に電話がなった。
 時計を見ると2時を少々回ったところだ。
 誰だろうと思いつつ電話を取ると友人だった。
 チャットの方も丁度話題が途切れたところだったので、何人か上がるのに合わせて自分も抜けることにした。

 電話を終え、受話器を戻しかけて気づく。
 ネットに繋いでいたのに、なんで電話が鳴った・・・?
 うちは回線を一つしか引いていないから、ネットに繋ぐときは電話を抜いておく必要がある。
 電話から伸びるコードの先を目で辿っていくと───壁のコネクタに接続されていた。
 となると───。
 もう一つのコードに目をやる───PCから伸びるコードは当たり前のように外れていた。

 記憶を辿る。

 ───そういえば、昨日はテレホタイムまで時間があったから、電話はそのままにしていた気がする・・・。

 普段、ネットに繋いでいるとき以外は電話に接続するようにしている。何時かかってくるか分からないからだ。
 そんな理由から電話に接続してあったのだが、昨日は23時を過ぎていたことに気を取られて、電話とPCのコードの差し換えを忘れていたことに思い当たる。
 しかし、そうなるとチャットが───というか、ネットに接続できるはずが無い。
 チャットで雑談していたのは一体・・・。

 ───後日、おそるおそるその事を話題に出してみた。
 すると・・・話題にしたことも、内容も記憶通りだった。
 しかし、あの日居た何人かが、自分と同じようにコードの差し替えを忘れていたのにも関わらず、やはりチャットに参加できていたのだという・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 ナローバンドの時代、ネットは「23時から翌8時」の定額料金サービスを利用するのが一般的だった頃に見かけた話です。
 コードの差し換えを必要としている点でも時代を感じさせます。
 今ではADSLもデュアル回線が標準なので話を聞かなくなりましたが、ADSL初期はシングル回線が標準だったため、ネット中に電話がかかってくると、ネット回線が切断されるといったこともありました。
 このお話を見かけたのはこの頃ぐらいまででしょうか。

 今の世代は常時接続や携帯電話が当たり前なので、時代背景が想像しにくく、忘れ去られつつあるお話だと思います。

 では、これにて十四の語り「チャット中の電話」了。


十五の語りに続く

2010/08/08 初版




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百物語 十五の語り
鈴鳴零言

 さて、今回もネットにまつわるお話です。

 ◆ ◇ ◆

 いつものようにPCの前に着き、Webカメラの向きを調整する。
 最近はライブチャットが日課になっていた。

 ある日───。
 職場で自分がいないときの家はどんな感じなのかが気になった。
 たまたまその日は家のPCがスタンバイ状態だったので、リモート起動でWebカメラの映像を呼び出すことにした。

 Webカメラが部屋を映す。PCを置いている部屋だ。
 カメラを使うので一応は見栄えを考慮し、雑多な感じにならないようにしている。
 カメラの範囲だと、机、本棚の一部、それとクローゼットが映るくらいか。
 あとは普段、これに自分が映ることになる。
 部屋で自分がいるときに画面映りを確認するときとは、また違った印象がある。
 人が映っていないというのもあるのだろうが、部屋の電気が点いていないので余計にそう感じるのだろう。

 ───少し模様替えを考えていると、何かが動いたような気がした。
 カメラの画素数はたいしたことがないので映像は粗い。
 そのせいかと思いつつ、一応映像に注視する。

 ・・・。

 気のせいだな───そう思ったとき、変化はあった。
 突然クローゼットの扉が開く。
 そして───中から白い服を着た女が出てきた。
 腰ぐらいまで伸びた黒い髪。
 真っ白なワンピース。
 ゆらり、といった動きでカメラの前を往復する。
 呆気に取られて、映像を見ていると───その視線に気づいたかのようにカメラに手を伸ばした・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 最近はWebカメラを利用し、外出中でも自宅の様子を確認することができます。
 携帯電話と連動したサービスもあり、外出中に子供やペットの様子を確認することができるなどといったようにも使われています。
 しかし、そのカメラが予想外のものを映し出していたら・・・。

 このお話ではリアルタイムの映像ですが、カメラで録画しておき、あとで留守中の状況を確認してみる、といったものは昔からみられます。
 時代に合わせた派生系といえるでしょう。

 映像に映っているものが、霊的なものであっても、人為的なものであっても、かなりの恐怖を覚えさせるお話です。
 もし、あなたがカメラを設置して、それに「何か」が映っていたら・・・。

 では、これにて十五の語り「Webカメラ」了。


十六の語りに続く

2010/08/09 初版




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百物語 十六の語り
鈴鳴零言

 さて、これも今では懐かしいかもしれません。

 ◆ ◇ ◆

 ある夜中───。
 今日はもう寝るか───と電気を消して、眠りに入る前にそれは起きた。

 目を瞑っていると、小さい音が聞こえている気がする。
 耳をすますと、サァーッ、といった感じの音がしている。
 雨でも降ってきたのだろうか───だが、雨音にしては音の感じが違っている気もした。

 ───ずっと聞こえているが、あまりに変化が無いので気になってくる。
 ベッドから体を起こし、電気をつけようとして気づく。
 暗い部屋の中に緑のLEDが光っている。
 それはCDラジカセの電源がONになっていることを示していた。

 電気をつけて確認すると、ラジオモードで作動している。
 デジタル表示される数字は、放送局のものでは無い周波数を示している。
 試しにメモリーされている放送局を選択すると、明瞭なラジオ放送が流れ始める。
 どうやら何かの拍子にスイッチが入っていたらしい。
 納得したので電源を切り、その日は終わった。

 ───ある夜中、それはまた起きた。
 本に熱中して、夜更かしをしていると、不意にザァーッ、というノイズ音が鳴り出した。
 音の元を見ると、やはりCDラジカセだ。
 やれやれ───と思ったものの、いくつか疑問が浮かぶ。
 電源は入っていなかったはず───確認していたわけではないが、いきなり音が鳴り始めた以上、そう考えるのが自然だ。
 それにボリュームがいきなり大きくなったという感じではなかった。
 それともう一つ。
 この間は放送局を選局してから電源を切った。
 普通は電源を入れた場合、前回使っていた設定で起動する。内蔵電池が切れていても、コンセントにつないであるので、記憶がリセットされることはないはずだ。
 つまり、この間、選局した放送局で起動しなければおかしいのだが・・・。

 そろそろガタがきてるのだろうか───うるさいのでとりあえず止めようと、CDラジカセに近づく。
 デジタル表示はやはり放送局ではない数字だ。
 適当に選局しようと手を伸ばし───ノイズの中に声が重なる。
 普通にナレーションや歌などが混線しているなら気にしなかっただろう。

 だが───それが呻き声にしか聞こえないものだったため、手が止まってしまう。
 そう聞こえただけか?───耳をすませる。

 ───ザァーッ───ぁぁああぁぁっ───ザァーッ───しぃ───
 ───ザァーッ───ぁあああぁぁぁっ───ザァーッ───るしぃ───
 ───ザァーッ───ぁぁぁああぁぁあぁっ───ザァーッ───くるしぃ───

 はっきり聞こえた瞬間、思わずスイッチを切ってしまった・・・。
 気味が悪いのでコンセントも抜いておく。

 ───後日、おそるおそる起動してみると、最後に選局したラジオ放送が明るく流れ出した。

 「はい。次のお便りはラジオネーム───・・・」

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 電気信号によるON/OFFのスイッチの機器が普及した頃に見られたお話です。
 今では基本的に原因が分かっているので怪談扱いされていません。
 原因はわかっているけど、シチュエーションがハマっていて怖かった、という程度でしょうか。

 原因はいわゆる電磁波の干渉による誤動作なわけですが、深夜に誤動作されるのはやはり怖いと思います。
 当時は出力の高い、深夜に走る遠距離トラックの違法無線が主に挙げられていました。
 今ではトラック・タクシーなどの無線、高圧電線、各種電子機器───と、いろいろ理解され、また増えています。

 このお話、派生系が無いわけでもなく、「PCのスピーカから・・・」というものが一応あります。
 もっとも、基本的原因が同じなので、どちらかというと前述した通り、タイミング的に怖かったと言われる話になってしまうようです。
 怪談・怪奇サイトを見ているときや、TVなどで怪奇特集をやっているときに限って起きることが多いのは、本当に偶然だけで済ませてよいのでしょうか?

 私は「基本的」に原因がわかっているとしか申しません。
 この意味はわかるでしょうか・・・。

 では、これにて十六の語り「勝手に電源が入るCDラジカセ」了。


十七の語りに続く

2010/08/11 初版




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百物語 十七の語り
鈴鳴零言

 さて、今回はラジオにまつわるものです。

 ◆ ◇ ◆

 ある夜、何か面白いものがやっていないかと、適当にラジオのチューニングダイヤルを回していた。
 どこかの明瞭に合わさったチャンネルで、耳慣れない語りが流れ出す。
 なんだこれ?───と、内容を聞いていると、どうやら平家物語の一節らしい。
 聞き慣れない弦楽器の音───たぶん琵琶だろうか───物珍しさもあり、そのままチャンネルを変えることなく最後まで聞いていた。

 後で番組を確認すると、そんな番組はどこの放送局でもやっていなかった・・・。

 ───そんなことがあったと、学校で4人の友人に話した。
 1人が自分も聞いたと言う。
 内容を聞く限り、同じもののようだ。
 どこかの放送がたまたま明瞭に入ったんだろう───。
 機会があれば、ちょっと聞いて見たい───。
 そんな感じでその日は終わった。

 また後日、聞いていなかった1人が聞くことができ、残る2人も夜な夜なチューニングを試していた。

 そんなある日───。
 夜、不意の訃報が二つ飛び込んできた。
 彼らの友人のうち2人が事故で亡くなったというのだ。
 残った友人達は悲しみに暮れた。

 数日後───。
 また、友人の1人が事故で亡くなったと知らせが入る。
 あまりに短い期間での出来事に、心のほうが追いついていなかった。

 そんなある夜───。
 もう1人残った友人から電話があった。

「───あいつらが事故にあった理由───もしかしたら、ラジオの平家物語を聞いたのが原因かも知れない───」

 確かに推測を聞くと符合する点が幾つかある。
 まず、最初に聞いた2人が、別々の場所でほぼ同時刻に事故に遭っている。
 そして、3人とも聞いてから二週間程度で亡くなっていた。
 だが、これだけでは確実とは言えない───。

「実は───俺も昨日の夜、聞いちまった───」

 少しでも気晴らしになるかとラジオをつけたとき、たまたま選局が合ってしまったとのことだった。
 途中で推測に至り、ラジオを切ったものの───俺に何かあった場合、覚えておいてくれ───そう言って電話は切れた。

 陰鬱とした日々が過ぎ、そして───。
 忠告をくれた友人も事故にあった。
 他の3人のように即死というわけではなかった。
 だが、意識が戻らず、そのまま帰らぬ人となってしまった。

 数年が過ぎたある日───。
 あれからずっとつけていなかったラジオを、天気予報を聞くために何気なくつけてしまった。
 当時は事故を思い出すため、ラジオから離れてしまっていたが、いつのまにか時間が解決していたらしい。
 ラジオの件も偶然だったと片づけてしまい、記憶の片隅へと追いやられていた。
 天気予報を聞いた後、聞き馴染みの放送局に合わせてみる。
 すっかり知っている番組が減っていた。

 適当に選局していると、能や歌舞伎のような日本芸能独特の語りが流れ出した。

「───諸行無常の響きあり───沙羅双樹の花の色───盛者必衰の───」

 ああ、平家物語か・・・───っ!?
 記憶の片隅に追いやられていた忠告が一気に思い出された。
 あわててラジオのスイッチを切る。
 新聞のラジオ番組欄に、やはり該当する番組はなかった・・・。

 日常に怯える日々が続き、交差点で信号待ちをしていたときにそれはやってきた。
 車が突っ込んできたのだ。

 ───骨を折る重傷ではあったものの、命に別状はなかった。
 それが偶然なのか、ラジオをすぐに切ったのがよかったのかはわからない。
 ただ───今後、自分からラジオをつけることはできないと思った・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 ラジオを使っていれば経験があると思いますが、電波状況次第で普段は入らない周波数に放送が入ることがあります。
 もしそれがこの世ではないところからの放送だったら・・・。
 また、それが聞いてはいけない類の放送だったら・・・。

 さて、このお話の彼らのように「この話を聞くと、ラジオで平家物語を聞く可能性がある」という派生系があります。
 ラジオを聞く機会の多い皆様はご注意を・・・。

 では、これにて十七の語り「ラジオ・平家物語」了。


十八の語りに続く

2010/08/12 初版




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百物語 十八の語り
鈴鳴零言

 さて、今回はある肝試しのようなものを。

 ◆ ◇ ◆

 暗い道───。
 周りにまったく人気が無い道───。
 そんな場所を一人で歩いているときに行ないます。

 不意に歩みを止め、後ろを振り向き、「おいでおいで」と手招きをします。
 できれば先が見通せないような暗い道がよいでしょう。
 街灯の下で行ない、明るさの差で先が見通せない状態にしてもよいです。

 手招きをした後は、前を向いて歩きます。
 振り向いてはいけません───。
 走ってもいけません───。

 周りに「人」はいません。
 でも、あなたは手招きをしました。
 一体、誰に・・・?
 それはもちろん───。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 まずは情景を想像してみてください。
 手招きをしたあと、後ろで何か音がしたら・・・。
 もちろんその際も振り向いてはいけません。
 あなたは「何か」が後ろをついてくる恐怖に耐えられるでしょうか・・・。

 ───と、いった肝試しです。
 とは言うものの、実際にはやらないことをお勧めします。
 なぜなら、ある意味簡易的な降霊術であり───もし、ついてきてしまった場合のことを考えたらやるべきではありません。
 語りの通り、呼び集める方法だけで、帰す方法がないからです。
 これはやはり「想像だけで楽しむ肝試し」と言えるでしょう。

 また、現実問題として、暗い道を一人で帰るのは危険を伴います。
 このご時世、痴漢や変質者、通り魔など、いくらでも警戒すべきものがあります。
 暴走車両などもそうでしょう。
 帰り道にはご注意を・・・。

 では、これにて十八の語り「おいでおいで」了。


十九の語りに続く

2010/08/13 初版




▼十一の語り / ▼十二の語り / ▼十三の語り / ▼十四の語り / ▼十五の語り / ▼十六の語り / ▼十七の語り / ▼十八の語り / ▼十九の語り / ▼二十の語り

百物語 十九の語り
鈴鳴零言

 さて、今回は霊は怖がるものだけではないというお話。

 ◆ ◇ ◆

 霊が帰ってくるという時節がある。
 あの世とこの世に分かたれし者達が共に過ごす期間。
 お盆だ───。

 迷わぬようにと、目印となる迎え火を焚く───。
 少しでも早く来れるようにと、足の速い胡瓜の馬の迎えを出す───。
 少しでも長く居れるようにと、歩みの遅い茄子の牛で送る───。

 配慮された送迎は、定められたわずかな刻を無駄にせぬようにとの心遣い。

 あの世に戻る刻が来る───。
 灯籠流しに精霊流し、五山送り火───。
 闇に浮かぶ灯火は、帰りの道で迷わぬように───。

 所が変わり、風習が変われど、心遣いはそこにある。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 霊に敬意を表する───実はすごいことだと思います。
 その最上級の価値観として、英霊として奉ることが挙げられるでしょう。

 お盆は故人を偲ぶのではなく、客分として迎える。
 故に、祭りの終わりはしばしの別れ───独特の郷愁を覚えさせるのではないでしょうか。

 百物語など、怪談の側面だけでは無く、畏敬の対象としての霊。
 これもまた忘れてはならないことでしょう。

 では、これにて十九の語り「心遣い」了。


二十の語りに続く

2010/08/15 初版




▼十一の語り / ▼十二の語り / ▼十三の語り / ▼十四の語り / ▼十五の語り / ▼十六の語り / ▼十七の語り / ▼十八の語り / ▼十九の語り / ▼二十の語り

百物語 二十の語り
鈴鳴零言

 さて、これも今では話題にのぼらなくなった類のものです。

 ◆ ◇ ◆

 田舎の祖父母の家に、それはあった───。

 夏休み、久しぶりに祖父母の家に遊びに行った。
 小学校以来だろうか。
 平屋建てだが敷地は広く、当時いろいろ探検して回った記憶があった。
 旧い造りのため、少々不便なところがあるが、今の建物には感じられない良さがある。

 しばらくお世話になることもあり、一通り部屋を見て回ることにした。
 まずはトイレと風呂───客間に寝室、台所───と、記憶と重ねながら見ていく。
 やはり当時は小さかったようだ。
 部屋のつながりの記憶が微妙に違っている。
 視点の高さが違うこともあるのだろう───。

 仏壇の他、タンスが置いてある部屋を一瞥して、ふと気づいた。
 タンスの裏に窓のようなものが見える。
 今の背の高さだからこそ、気づけたようなものだ。
 なんだろう?───と確認してみると、どうやらガラス戸のようだ。
 曇りガラスが入った引き戸が、ちょうどタンスの裏になるように隠れている。
 建物の見取り図を思い浮かべると、どうやら一部屋ありそうだ。
 勝手に覗くわけにもいかないだろう───と、あとで聞いて見ることにした。

 祖父に聞くと、端的な話を教えられた。

「あそこは人が使うための部屋ではない。だから間違って人が使わないように、入れないようにしている」

 この辺りは近所付き合いが家族同様なこともあり、不意に泊まっていくということもあるのだろう。
 だが───。
 疑問が顔に出ていたようだ。
 中を見てみるか、との問いに頷いた。

 タンスをどかし、ガラス戸が露わになる。
 障子戸の障子の代わりに曇りガラスを入れてある感じだ。
 祖父が戸を開いた。
 中には───炬燵にタンス、古い型の電気ポットと急須に湯呑み───それと文机というやつだろうか、文庫本と辞書が置いてあった。
 なんというか不思議な空間だった。
 祖父が手際良くほこりを払っていく。
 ほこりを払い終わり、もういいか、と目で尋ねてくる。
 頷くしかなかった。

 タンスを戻し、ガラス戸を隠す。
 居間に戻り、お茶を入れて一息つくと祖父は語った。

「あの部屋は人が使ってはいけない、とだけ伝えられている。使ってしまうと、その人に良くないことが起きると言われている。過去に使った人がいて、ロクな目に合わなかったというのは、子供の頃に聞いた───」

 祖父も詳しい話を聞く機会が無く、そのまま今に至ってしまったとのことだった。
 使わなければ特に問題が無く、たまにホコリ取りをするのが、住むものの役目であるという・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 いわゆる開かずの扉、開かずの間、開かずの部屋などと呼ばれるものです。

 使われていない部屋や扉があり、中に何があるのかわからない───。
 そんな謎を秘めた話ですが、今となっては、かなり少なくなってしまったように思えます。

 昔の使われていない倉庫───。
 今は鍵が紛失している───。
 普段使われていない理由───。
 こういったシチュエーションは学校の七不思議にも見られました。
 いろいろと整理され、使われていない場所が無くなっていくと、自然と「開かずの場所」は姿を消し、扉の奥に隠されていた話へと変わってしまったのでしょう。

 中に何があるかわからないからこその話。
 謎と不思議の入り口、それが「開かずの扉」であり、「開かずの間」なのです・・・。

 では、これにて二十の語り「開かずの扉・開かずの間」了。


二十一の語りに続く

2010/08/16 初版

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