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百物語 三十一の語り
鈴鳴零言

 さて、これもまた有名なお話の一つです。

 ◆ ◇ ◆

 鏡と鏡を向かい合わせにする。
 すると───鏡に映った鏡を映し返し、果ての見えない不思議な世界が広がる。
 いわゆる合わせ鏡というものだ。

 この合わせ鏡に自分を映すと、同じように何人もの自分が映り込む。
 ───だが、よく見て欲しい。
 鏡に映る自分達の中に、一人だけどこか違うものが混じってはいないだろうか。

 それは───。
 自分そっくりの姿をしている。

 一人だけ笑っていたり───。
 向いている方向が違ったり───。
 左右が逆だったり───。

 それが合わせ鏡の魔物である・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 合わせ鏡に映る自分の一人が違うことをしている。
 大体は一桁後半───八人目あたりの人がおかしい、と話に出てきます。
 立ち並ぶ自分達の間を、一箇所だけ影がよぎる、などというものもあります。

 また、三面鏡の話も、合わせ鏡の派生系と言えるでしょう。
 こちらは、夜の特定の時間に、部屋を薄暗くして鏡を覗き込むと、表情が少し違う人がいるというものです。

 他には、合わせ鏡を使った召喚術、「合わせ鏡の悪魔」などと呼ばれている話があります。

 鏡は一枚でも、別の世界に通じている話がよく見かけられます。
 それだけに、複数の鏡に映る世界はどこかに通じやすいのかもしれません。

 鏡は使うとき以外は、鏡台なら掛け布、手鏡なら伏せておく、ということが言われます。
 鏡にまつわる話を知るほどに、これらがただの作法ではないことに思い当たられることでしょう。

 では、これにて三十一の語り「合わせ鏡」了。


三十二の語りに続く

2010/09/01 初版




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百物語 三十二の語り
鈴鳴零言

 さて、これも日常で出遭いそうなお話。

 ◆ ◇ ◆

 街中を歩いているとき、駅前の大通りで信号待ちをした。
 同じく信号待ちをしている、向かいに並んだ人達を何気なく眺める。
 ふと、その中の一人───自分のほぼ正面にいた、スーツ姿の人に目がいった。

 だが───。

 なんというのだろうか・・・何か違和感を感じる。
 他の並ぶ人達や景色から浮いて見える───と、言うのが近いだろうか。
 こっそり周りの人を見てみるが、同じように感じている人は───どうやらいないようだ。
 たぶん、気のせいだろう・・・。

 考えているうちに信号が青に変わり、皆が横断歩道を渡りだす。
 自分も歩き始めたが、一度意識してしまったせいか、向かいから近づいてくるスーツ姿の人が気になっていた。
 ジロジロと見てしまわないように、意識的に視線を外す。
 そしてスーツ姿の人とすれ違った瞬間───。

「見えてるくせに・・・」

 ぼそりと、だが、はっきりとした呟きが聞こえた・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 このお話も幾つかの派生系が見られます。
 相手側は「スーツ姿の男性」「白いワンピースの女性」「旧日本軍人」など、自分側は「霊感持ち」「友人と一緒」などでしょうか。

 基本は「横断歩道」「自分だけ気づく」「見えてるくせに・・・」だけですが、後日談が付け足されているものもあります。
 その場合、相手が「忘れた頃に自宅にやってくる」。
 そして、自分は「殺されてしまう」「気絶してしまう」といった話で終わります。
 また、こちらの派生系の場合、この話を見聞きすると、「3日以内」など───話に出てきた相手に出遭うのだそうです。

 では、これにて三十二の語り「見えてるくせに・・・」了。


三十三の語りに続く

2010/09/02 初版




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百物語 三十三の語り
鈴鳴零言

 さて、これもメジャーというほどではありませんが、定番の一つです。

 ◆ ◇ ◆

 これは、ある学校の年間行事の一つで起きた話。

 夏の時期、移動教室として、今年は林間学校で山に来ていた。
 ちなみに、年度によって林間学校か臨海学校かの、どちらかに変わる。
 移動教室とはいうものの、実質、修学旅行に並ぶ旅行行事だ。
 それだけにテンションが上がるのは仕方の無いことだろう。
 また、今回は例年使われていた宿舎ではなく、林間に立ち並ぶバンガローを利用している為、より旅行気分に拍車がかかっていた。

 夜───。
 基本通りというべきか、別のバンガローへ遊びに行こうということになった。
 幸い、要所要所にバンガローの外灯が有り、月明かりが林に差し込んできているので、懐中電灯が無くとも、夜目に慣れれば十分見える明るさがある。
 見回りの教師が通り過ぎるのを待って、数人が移動を開始する。
 教師は懐中電灯を持っているので、どこにいるかがよく分かった。

 移動の途中、自分達の歩く音以外に、何かの音が混じっているのに気づく。
 それは一定のリズムを刻んでいた。
 あれ? あそこ───と、自分達が進んでいる道とは違う道を、一人が指差す。
 中央にある広場に向かう道だ。
 そこに小さな影が見える───多分、小学生くらいの女の子だろうか、光が当たっていないのでよく見えないが、そんな感じだ。
 その子がボールで鞠つき遊びをしている。
 音については納得したものの、すぐに、地元の子だろうか? こんな時間に? と、疑問は変わった。
 不意に、ポーン───とボールがこちらに転がってくる。
 顔を見合わせ、一人が投げ返してあげるべくボールに近づいた。

 ボールを拾おうをして、目が合ってしまった。
 地面に転がる頭が、拾おうとする自分を見上げている。
 ボールだと思っていたものは───女の子の頭だった。

 待っていた皆も、うわっ、と声を上げる。
 近づいてきた小柄な影が、月明かりに照らされ、首の無い女の子とわかったからだ。
 悲鳴を上げて、皆、一斉に逃げ出す。

 悲鳴に気づいた教師がやってきて、話の要領を得ないながらも指差す先を懐中電灯で照らす。
 そこには誰の姿もなかった・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 自分の首でボール遊びをする子供の霊の話というものです。

 少ないながらも派生系が見られ、

 女の子なら鞠つき、男の子なら壁当て───。
 生首が血だらけの生々しい場合や、人形じみた綺麗な場合など───。

 このあたりの話が定番のようです。
 実際に出遭ったとしたら、あなたは頭を拾って返せるでしょうか?

 では、これにて三十三の語り「鞠をつく少女」了。


三十四の語りに続く

2010/09/04 初版




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百物語 三十四の語り
鈴鳴零言

 さて、これはある場所で起こったお話。

 ◆ ◇ ◆

 そこは、近所では定番の肝試しスポットだった───。

 元は、かなり大きな病院だったが、不祥事が連続したため、早くに潰れたのだ。
 取り壊すには新しい建物だったので、後に入る病院や企業などを募集していたが、結局、後釜は決まらず、そのまま廃屋と化してしまったらしい。
 ちなみに、その不動産屋も不況の煽りを喰らって潰れてしまった、とかいう噂は聞いた。

 そんな場所へと、友人達と久しぶりにやってきた。
 話の流れで、その場所の話題になり、地元じゃなかった奴が行ってみたいと言ったからだ。
 広い敷地にある複数の建物を一気に見るというのは、好奇心より疲れが勝るので、滅多なことではやらない。
 今回も一番大きな建物に絞って見ることにした。

 玄関からロビーへと移動し、一階をぐるっと回った後、二手に分かれることにした。
 見たいと言ってた奴を、定番コースで一通り案内してくるというので、もう一人と待っていることにしたのだ。
 久しぶりではあったが、落書きが増えている程度で記憶通りと言っても良かったので、親交を深めたそうな顔をしてた友人に遠慮したというのもある。

 一緒に残った友人と雑談していて、ふと、壁の影になるようにあった通路に目がいった。
 なんだ?───と見ると、視線に気づいた友人もそっちを見る。
 近づいてみると、通路から少し進んで、下り階段が続いていた。
 友人と顔を見合わせる。
 友人も同じことを思ったのだろう───この建物には地下室はなかったはず・・・。

 少し相談した上、友人達が定番コースから戻ってくるのに少し時間があるので、軽く見てみようということになった。
 久しぶりなので記憶違いか、昔は上の階をよく行っていたので、一階は意外に見落としていたのかもしれないと思ったのだ。

 地下に降りると一階よりも冷んやりとしている。
 階段から短い廊下が左右に伸び、片方の端にエレベーターの扉が見える。
 反対側には両開きの扉があった。
 扉に近づき───顔を見合わせ───そして扉に手をかけた。

 ───中はがらんとしていた。
 広さはシングルの寝台を三つ並べられる程度か───簡易寝台を三つ、十分な間を取って並べると丁度いいのかもしれない。
 そんなことを思ったのは、向かいの壁に業務用の冷蔵庫のような扉が三つ、間隔を空けて付いていたからだ。
 その扉の大きさは縦横1m弱ぐらいだろうか。
 ドラマか映画で見たことのあるような───棺ごと冷蔵保管できる霊安室なのだろう。そのイメージがぴったりだった。
 初めて見る部屋だった。
 もう少し見てみたかったが、友人達もそろそろ戻ってくるころだろう。
 とりあえず納得したので、上に戻ることにした。

 上に戻り、再び雑談を始めた。内容はさっきの霊安室だ。
 友人も同じく、あそこは今まで見たことが無いとのことだった。
 ───やはり見逃していたのだろうか・・・?

 友人達が戻ってきたので、霊安室の話をする。
 早速行ってみようということになった。

 しかし───。

 通路に行ってみると、そこに下りの階段はなく、上りの階段が続いていた。
 霊安室に行った二人は混乱した。
 場所を間違えるはずはない。さっきまで雑談していた場所から見えた通路なのだから。
 だが───。
 そういえば───と、友人の一人が言う。
 ここの噂の一つに、封鎖された霊安室というのがなかったか───と。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 ある霊安室の噂。

「この霊安室が原因で病院が潰れた」
「一晩いれば必ず霊体験ができる」
「何故か不可解な事故が多いため封鎖された」
「入り口だけ埋めて入れないようにした」

 などなど・・・。
 その後、彷徨える霊安室となるわけですが、そこに行った後、時間の進みが違っていたり───というのも定番でしょうか。
 行って戻ってこれるだけ、マシなのかもしれませんが・・・。

 では、これにて三十四の語り「消えた地下室」了。


三十五の語りに続く

2010/09/05 初版




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百物語 三十五の語り
鈴鳴零言

 さて、今回はある心霊スポットについて。

 ◆ ◇ ◆

 心霊スポットの定番の一つにトンネルがある。
 その中でも「小坪トンネル」はトップ3に入る有名どころだろう。
 幽霊を見た、または怪異に遭遇した、という話が数多く聞かれるトンネルである。
 また、その話の内容が、多種多様なところも、他ではあまり見られない特徴かもしれない。

 その話を幾つか挙げてみると───、

「トンネル手前に佇む女性の霊」
「車と同じスピードで走ってくる老婆」
「女性と子供の親子連れの霊」
「ガラス越しに、数々の物凄い形相の顔が浮かぶ」
「トンネルの天井から下半身が突き出すようにぶら下がっている」
「生首が飛ぶ」
「手首が落ちてくる」
「車の屋根に人が飛び移ってくる」
「女性の霊がボンネットに落ちてくる」
「見知らぬ女性の霊が後部座席に座っていた」

 ───と、言うように、正直、多彩過ぎる───ほとんどのトンネルの怪異を網羅しているのではと思わせるラインナップだ。
 強いて言えば、割合、女性の霊の話が多いのかもしれない。

 神奈川県道311号にあるトンネル。
 ここを通過することがあるのなら、怪異に出遭う可能性が高いことを、頭の片隅に覚えておくとよいだろう・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 小坪トンネルは、幽霊がらみの交通事故が多発していたこともあったようで、ただの噂ではない何かがある場所のようです。
 トンネルの上に火葬場があるのも一因でしょうか・・・。

 小坪トンネルは6つのトンネルが集まっていますが、それぞれ「小坪隧道」「逗子隧道」「名越隧道」と「新小坪隧道」「新逗子隧道」「新名越隧道」というのが正式名称だそうです。
 また、小坪トンネルは同名のトンネルがあり、こちらも正式名称は「小坪隧道」とのこと。
 いずれにしても時代を感じさせる呼び方です。

 時代と言えば、噂は古くからあるようで、怪談話を題材にした『無言』という本(著:川端康成)に小坪トンネルが題材になっているものがあるそうです。
 興味があれば見てみるとよいでしょう。

 この手のトンネルで、何かあるという人と、何度も通っているけど何もない───という話は良くあることですが、ここ小坪トンネルは「白い車であること」と「車内の人数」の条件が揃うと遭遇確率が上がる、と一部の噂にあります。

 では、これにて三十五の語り「小坪トンネル」了。


三十六の語りに続く

2010/09/07 初版




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百物語 三十六の語り
鈴鳴零言

 さて、これもまた、割と知られたお話。

 ◆ ◇ ◆

 車にまつわる怪談話をいろいろ知っていれば、一度は聞いたことがあるだろう。
 自分達を死に陥れた者を探している車の話を───。

 ある道路を白のセダンで走っていた。
 この日は道路が空いていた───上手い具合に、見える範囲に他の車はいない。
 気兼ねなく、気持ちよくスピードを上げることができる。

 少しして───。
 バックミラーに赤い点が映る。
 だんだん点が大きくなってくる。少しずつ追いついているようだ。
 結構な速度を出しているのに───車はなんだろう? と興味が沸いた。
 ちらちらとバックミラーを見ていて───そのうちに自分の目を疑った。
 後ろから追いついてくるのは、赤の軽自動車だった。

 そして、赤い軽自動車は一気に追いつき、自分の隣に並ぶ。
 驚いて軽自動車に目を向ける。
 中には───じっ、と前を見つめ、全身から血を流した4人の女性が乗っていた。
 突然、4人の女性が一斉にこちらへ振り向いた。

 一瞬が長い時間に感じられるとは、このことだろう。
 4人の女性は物凄い形相で睨みつけ、悔しそうに、口々に叫んだ。

「こいつじゃない───こいつじゃない───」

 赤い軽自動車は再び猛スピードで自分を抜き、走り去っていった・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

「ありえない車種(または人)が追いついてくる・追い越していく」

 という話は車にまつわる怪異では定番の一つですが、この話のように、

「仇を探している」
「ありえない車種が抜いていく」

 という話は、似て非なる話として、定番と言えるでしょう。

 ところで、このお話───実際に出遭えるという噂の道路があります。
 それは───。
 富士五湖道路、国道138号線です。
 これも、ただの噂の一つなのか、実際に出遭ったという人がいるのかは分かりません。
 でも、白いセダンに乗ってここを走ると・・・?

 では、これにて三十六の語り「こいつじゃない」了。


三十七の語りに続く

2010/09/08 初版




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百物語 三十七の語り
鈴鳴零言

 さて、今回もトンネルのお話。

 ◆ ◇ ◆

 奥多摩の中山トンネル───。

 ここには亡くなった身内の幽霊が、古い車に乗って現れ、トンネルを抜けるとすっと消えた。

 ───と言う話がある。
 一つの話が広まったのか───それとも少数であっても、不特定の人々が出遭った話なのか・・・。
 幽界とつながっている、という噂のあるトンネルの一つである。

 ◇ ◇ ◇

 東名高速の日本坂トンネル───。

 このトンネルを走行中、後ろに一台の車が来た。
 普通なら、安全注意程度にしか、気にすることはなかっただろう。
 だが───。

 それは古い車だった。
 ヘッドライトは四つ。分かりやすい古さのある車だ───昭和50年代だろうか。
 年代に連想して、ある事故を思い出した。
 昭和54年、この日本坂トンネルでは火災事故が起きている。
 まさか───。

 トンネルを抜けるころに───いつしか、その車は姿を消していた・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 幽霊がでてくる噂の類ですが、車自体に幽霊っぽさを強く感じるお話です。
 普通は乗っているモノが主体であり、車やバイクは、言ってみれば演出のアイテムです。
 詳細がはっきりしていない───ただ、「そこで出るらしい」という、曖昧な噂ならではの特徴かもしれません。

 バイクと言えば、首無しライダーの話が有名ですが、前述の中山トンネル付近───桃ヶ沢トンネル・梅久保トンネル・中山トンネル───にも、その噂はあるようです。
 後ろから猛スピードで、車を追い越していく首無しライダー。
 車種はカワサキのバイク「W1」とのこと。

 古い車───いかにもなクラシックカーや、往年のスポーツカーは分かります。
 しかし、そういった年式にこだわりがあるとは思えない古い車に出会ったら、それはもしかすると・・・。

 では、これにて三十七の語り「古い車」了。


三十八の語りに続く

2010/09/10 初版




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百物語 三十八の語り
鈴鳴零言

 さて、今回は購入することもできた、ある品物について。

 ◆ ◇ ◆

 心霊ビデオと呼ばれる類の物がある。
 不可思議な怪異を偶然、ホームビデオや監視カメラが捉えたものをまとめたものだ。
 数々のシリーズが出ており、本当に不可思議なモノから、ヤラセ感があるものまで、さまざまな映像が収録されている。
 それらの中に、見ると呪われる───霊障がある、と言われているものがあるのは知っているだろうか。

 その呪われるという、噂のビデオはどれなのか?
 諸説あるが、あるシリーズの11〜14あたりと言う噂が一つにある。
 巻数があるシリーズで有名なものとなると『本当にあった呪いのビデオ』シリーズぐらいなので、まずこれだろう。
 そして、呪われるというのは、DVD版では無く、ビデオテープ版の初版に当たるもののみ、という噂もまた付随している。

 これらは噂に過ぎない情報ではある。
 しかし、呪われるという噂が、特定の巻数限定のみで出回っているというのは、どういうことであろうか・・・?
 この情報をどう扱うかはあなた次第である・・・。

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 「二十三の語り」でも出てきましたが、ビデオテープにまつわるお話───中でも、より身近にあるお話になります。

 このお話、呪われると言われているものが、デジタルコピーされたものではなく、アナログの初版のみらしい、というあたりが真実味を帯びている気がします。
 また、この手のもので覚えておくこととして、中身の映像がヤラセであろうとなかろうと関係無い、ということでしょうか。
 例えば、呪いの条件が「話数」だったりする場合です。
 これは百物語を挙げると分かりやすいでしょう。
 語る話は、事実───噂───創作───いずれであろうと問題ありません。
 不可思議な話を百話───つまり「数」が条件のキーとなっているわけです。
 このことを踏まえると、重版やデジタル化されたときには、以前の数に足されてしまう───条件が変わってしまった、ということが考えられます。

 怪異を扱っていれば、アナログであろうと、デジタルであろうと、身体や機器に謎の不調が出てくる、というのは割とある話です。
 ファミレスの売店コーナーで売っていた、「心霊カセットテープ」や「心霊CD」をかけたら、急にラジカセの調子がおかしくなったとか───。
 心霊サイト巡りをしていると、PCが謎の異音を発したとか───。
 もちろん、私の語りも例外では無いことをお忘れなく・・・。

 では、これにて三十八の語り「呪いのビデオ」了。


三十九の語りに続く

2010/09/12 初版




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百物語 三十九の語り
鈴鳴零言

 さて、たまには人為的なお話を。

 ◆ ◇ ◆

 Prrrrrrrr───。

 昼間、不意に鳴った電話の呼び出し音に、彼女は体をすくませた。
 今、この二階建ての家にいるのは自分しかいない。
 ───恐る恐る電話を取る。
 もしもし───と、問いかけても返事はない。
 いつもと同じ無言電話だった。

 無言電話が来るようになったのは、一週間ほど前からだった。
 警察に相談したものの、無言電話だけでは動けない、とのそっけない反応だった。

 ───いくら問いかけても反応のない相手に、恐怖より苛立ちが上回り、罵倒と文句を叩きつける。
 すると───。

「───殺してやる・・・」

 一言、ぼそりと呟きがあって電話が切れた。
 この事を警察に伝えると、前に相談したこともあり、逆探知をしてもらえることになった。

 そして後日───。
 再び、電話がかかってきた。
 事前の打ち合わせ通り、通話を長引かせていると、臨時に引かれた警察との回線から連絡が入った。

「すぐ、家から出てください」

 よくわからないままに家を出ると、入れ替わりで外の車両に待機していた警察官が家に入っていく。
 指揮を執っていた人が、理由を教えてくれた。

「電話は家の二階から、かかっていたんです───」

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 有名な都市伝説の一つです。
 若干のディティール差を除いて、ほとんど話に派生系が見られないという点がめずらしいかもしれません。
 ナンバーディスプレイなどもない時代からのお話ですので、変化を入れる余地があまり無いのでしょう。

 人為的な怖い話───人の方が霊より怖い、と言われるだけに、より身近な恐怖がそこにあります。

 では、これにて三十九の語り「逆探知」了。


四十の語りに続く

2010/09/13 初版




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百物語 四十の語り
鈴鳴零言

 さて、人為的なお話をもう一つ。

 ◆ ◇ ◆

 AとBの女性二人が、Aの住んでいるマンションに戻ってきた。
 今日はBが泊まっていく予定になっている。

 お茶を飲みつつ、遊んできた場所や立ち寄った場所、食べ物にファッションと、いろいろな話題に花を咲かせていると、いつのまにか結構な時間になっていた。
 明日もあるし、そろそろ寝ようか───ということで、シングルベッドの隣に布団を敷く。

 さて、寝巻きに着替えようかというとき、突然、Bがコンビニに行こう、と言いだした。
 Aはさすがに今の段になっては面倒だったので、明日じゃ駄目? などと聞いたが、一緒に行こう、と聞かない。
 着替える前だったので、手早く鍵と財布だけ用意する。
 その間───Bはどこかそわそわしていた。

 コンビニに着くと、Bは中に入らず、まっすぐに公衆電話に向かった。
 そして、緊急通話のボタンを押して、警察に電話を入れた───。

 コンビニに警官が迎えに来るというので、待っていることになった。
 何がなんだか、よくわからないうちに事が進んだので、Aは何があったのか訊ねた。
 すると、Bは───。

 「───ベッドの下に、斧を持った男がいたの・・・」

 ◆ ◇ ◆

 ・・・という、お話。

 これも有名な都市伝説の一つ、ベッドの下に潜む斧男(または鉈男)です。
 包丁や、大振りのナイフという派生系もありますが、やはり手斧か鉈のどちらかが定番と言えるでしょう。
 これは武器のゴツさが良いのだと思います。
 男がホッケーマスクを着けていたら、一気にアクションホラーになりそうなシチュエーションですが、こんな状況はドラマか映画の中だけであって欲しいものです。

 しかし───。
 あなたが───もし、実際に誰かが隠れているのに気づいてしまったら・・・。
 その時、あなたはどのような行動を取るのでしょうか。

 では、これにて四十の語り「ベッドの下」了。


四十一の語りに続く

2010/09/14 初版

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