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やよマス 17話
匿名希望P

『新ユニット始動』




 春香さんを送っていくつもりが、奥多摩で道に迷ってたいへんなことになりました。
 もっともあれが道というのなら・・・。

 恐ろしい一夜を過ごしてしまったのですが、仕事は待ってくれません。
 体力の限界を感じたので、車は春香さんの家に置かせてもらって、一緒に電車で会社に行きました。
 ちなみに一睡もしておりませぬ。

 2時間通勤ですよ。
 春香さんのスゴさを改めて実感させられましたとも。

 始発駅だったので席に座れたのが不幸中の幸いでしょうか。
 さらにちなむと春香さんは横で爆睡状態です。

 スーパーアイドルが電車に乗って大丈夫かとは思ったのですが、半目でよだれを垂らしながら寝ている女の子が、まさかアイドルだとは思われないらしく、通勤中の皆様に気付かれることはありませんでした。
 はっきり言って、この寝顔こわいです。

 車をずっと置きっぱなしにしておくわけにはいかないので、近いうちに取りに行かなくてはいけないのですが、あの秘境を走破しなければ・・・と思うと萎えます。
 1週間くらいは天海家に預かってもらおうと思っています。

 カーナビ買わなくちゃね。
 ・・・ってかラリーカーを。
 いやいや、オフロードバギーの方が・・・。

 事務所の仮眠室でウトウトしていると、小鳥さんが濃いめに淹れたコーヒーを持ってきてくれました。
 やはりメガネとは違います。
 この仮眠室は、おおむね会議室と呼ばれていますが、誰もいない時は寝室扱いなのです。
 ちなみに律っちゃんPに見つかると怒られます。

 ちっ。


【小鳥】
 「昨日はたいへんでしたね。春香さんから聞きましたよ。コーヒーどうぞ」

【P】
 「あ、すいません。送っていくつもりが、もうちょっとで遭難するところでしたよ。廃線跡とか、謎の工場跡とかふつーにある所に迷い込んで、『クトゥルフの呼び声』をリアル体験した気分です」

【小鳥】
 「H.P.ラヴクラフトですね。正気度は大丈夫ですか?」


 くすくす笑う小鳥さんはたまらなく可愛いです。
 ってか正気度って!
 原作の方じゃなくてテーブルトークRPGの方ですかい!!


【P】
 「SANチェック失敗です」

【小鳥】
 「懐かしいなぁ♪ 学生時代によくやってたんですよ」


 ウホホっ♪
 天使の微笑みですよ!
 でも、一体おいくつですかって感じですYO!!

 ま、女性にその質問はタブーでございますが。


【P】
 「春香さんの家は遠いと聞いてましたけど、都内だと言うので油断しました」

【小鳥】
 「都下も都内ですからね、うふふ。そんなにすごいんですか。ちょっと興味あるかも」


 いけません!
 そのちょっとの興味が身を滅ぼすのです。
 あれは通勤じゃないです。
 旅です。
 いや、冒険です。
 エヴリデイが。


【P】
 「むしろ、ちゃんとJRの駅があるってことに驚きましたよ。単線でしたが」

【小鳥】
 「ふふふ、お昼には律子さんが戻ってくるので、どうしても辛かったら言って下さいね。近くに居心地の良いネットカフェがあるんです」


 妙齢の女性が、なんだってネカフェに詳しいのかは分かりませんが、いつまでも寝ているわけにはいきません。
 やよいちゃんと真美ちゃんが待っています。

 ・・・誰か忘れているような気もしますが、まあそっとしておきます。

 きっとその誰かは、今頃、麦助師匠とどこぞの横町に突撃している頃ですから。
 バラエティ業界にも突撃しております。
 がんばって下さい。

 さて、美味しいコーヒーもいただいて、少しシャッキリとしてきました。
 ムチムチっとした小鳥さんの後ろ姿に、パーフェクトコミュニケーションでもしたくなってまいりましたよ。(←せっかくスッキリしたのにすぐ疲れようとする奴)

 おおぅ、ボリュームたぷ〜りのヒップ!
 タイトスカートのシワが悩ましいデース♪


【律子】
 「おつかれー」


 くっ、このメガネはなんだって、オイラが盛り上がろうとすると邪魔しに来るのか!!


【P】
 「おつかれ〜」

【律子】
 「何よ、その死にかけたゾンビみたいな顔色して」


 言いたいことは分かりますが、ゾンビはすでに死んでいます。


【P】
 「春香さんの家まで車で送って行って、たいへんな事になった」

【律子】
 「無理もないわね・・・」


 律っちゃんPの顔が驚愕のソレに。


【律子】
 「・・・たいへんだったのね。今は大きな仕事なかったでしょ? 早退するなら、雪歩には私から言っとくから」


 うお!?
 律っちゃんPが優しい言葉をかけてくれたのは初めてな気がする。


【P】
 「いいのか?」

【律子】
 「私も以前、春香の家に行った事あるのよ。タクシー代がそれはもう・・・今、考えても恐ろしいわよ」


 タクシーの運転手さんスゲェ!
 プロのラリーストか!?
 あの道を走破したのかああああああ!

 走っている時の心細さと言ったらもう・・・。
 ここホントに国道か!? と思っていると、忘れた頃に立っている国道標識。
 特に噴かしているわけでもないのに、走っているだけでオレンジ色に輝くエンプティランプ。
 明るいガソリンスタンドの看板を見つけた時の気持ちは、一生、忘れない気がしますよ。

<神様ありがと〜〜〜>

 上がり続ける料金メーターってのもこわいけど、律っちゃんPまで優しくなる!
 恐るべし、春香さんの家。


 ・・・


 ところで、やよいちゃんの新曲、真美ちゃんのデビューの話は順調に進んでおります。
 特に真美ちゃんは『アイドル、双海亜美。双子の姉もついにデビュー』というアドバンテージがあるので、他のFランク新人アイドルよりも仕事が入りやすいのです。
 亜美ちゃんとココがチガウ! などなど、パブリシティも打ちやすいので、アイドル情報誌の食いつきも上々です。

 もちろん、いつまでも双海真美は双海亜美の姉と呼ばせ続けるつもりはありませんよ。
 髪型も変え、より大人っぽい真美ちゃんにイメージチェンジです。(←2ヴァージョンですよ、2!)

 すっかりバラエティに慣れた雪歩さんもテンション高めな暴走キャラが定着してきました。
 一説には、なぜか声も高くなったというマニア共のささやきもありますが・・・。
 彼女の声がアフレコで、声優さんが変わったわけじゃあるまいし。
 ねぇ?


【雪歩】
 「こんにちはーっ! 今日は573プロの後輩達と、関東ローカル路線バスの旅に挑戦します」

【やよい】
 「はいっ! 私達は無事に日本橋まで戻る事が出来るのでしょうか」

【真美】
 「うはぁ、東京までは遠そう〜」


 番組が定めたルールは、路線バスだけを乗り継いで、東京・日本橋を目指すというものです。
 途中、さりげなくスポンサードしてくれたお店のある停留所で降りたりもします。

 若い頃に悪役で鳴らした俳優のG・武雄さんがぶらぶら歩く「Gさんぽ」に並ぶ、関東ローカル局の看板番組からオファーをいただいたのです。
 かなり視聴率が高いので、今後の露出が楽しみなほどですよ!
 ちなみに出発地点は春香さんの家の最寄り駅です。

 まさか、こげな所に再び来るとは思わなんだ・・・。


【雪歩】
 「真美ちゃん、ここも東京都なんだよ」

【真美】
 「えーっ!? でもすっごいのどかで・・・」

【やよい】
 「はい! さっき牧場に牛さんがいっぱいいましたよー♪」

【雪歩】
 「そうですね。バスが来る時間までせっかくなので牧場をのぞいてみましょうか」

【やよい】
 「うっうー、牛さんのミルク絞りたいれぅ」

【真美】
 「うんうん。出来たてソフトクリームって書いてあったよ。真美、超食べたーい」

【やよい】
 「ソフトクリーム!」

【雪歩】
 「あ、あの、2人とも。目的はあくまでバスの旅だからね」


 いいトリオです。
 このテンポの早い会話が、ふつーの若い女の子っぽいのですよ。
 番組用のテンションじゃなさげに見えるので、視聴者も安心して観ることが出来るのです。
 逆に番組側はうっかりスポンサーの店を通り過ぎたりしないかヒヤヒヤするわけですが、そのあぶなっかしい感じがまた番組の魅力になっているのも確か・・・なはず。

 テレビ局のスタッフはノリも良く、撮影は進んでいきます。

 牧場で牛さんと戯れるアイドル3人。
 実にイイ絵です。
 業界的にはイイ画って書いて、イイ絵ですよ。

 ってか、オレも乳搾りしたいです!
 もちろん牛さんのではございません。
 3人の控えめかつフレッシュな乳搾りを・・・。

 おっと、つい悪いクセが出てしまいました。

 元気にソフトクリームを頬張るやよいちゃんと真美ちゃん。
 イイヨーイイヨー♪
 それに対して、少し頬を赤らめながら、チロチロとソフトクリームに舌を這わせる雪歩さん。

 わかってらっしゃる!
 ブラボー!!
 無駄にエロい!

 とにかくエロいのじゃ、ゆきぽたん♪
 ただソフトクリームを舐めてるだけなのに、白いクリームをうっすら口の端から垂れそうになるあたり、もうね、なんかね。

 おほぅ♪
 舌で舐め取ったあぁぁぁ。

 カメラ目線で舌なめずりっておいっ!
 ええぃ、バラドルのゆきぽは化け物か!

 ハアハア・・・末恐ろしい子ですよ。
 わかってやってるだろ、ゆきぽたん!
 恥ずかしい娘じゃのう、ヒッヒッヒ。
 穴を掘って埋まってて下さい。

 ヤバイ!
 息子がパフェった。
 ティーン♪ と来た。


【真美】
 「あーっ、そろそろバスの時間だよー!」


 くそ、トイレに行く時間もないのかYO!

 ローカル路線バスは1本逃すとたいへんな事になるのです。
 番組には尺っちゅうもんがありまして、要するに放送時間なわけですが、収録テープはなるべくその範囲内にしたいですし、収録時間も長くなれば日が暮れてライトなどが必要になってしまうのです。
 パーフェクトコミュニケーションどころではないのです。
 「Pのトイレ待ちでーす」とかスタッフに言われた日には恥ずかしいのです。


【やよい】
 「急いで停留所に戻りましょー!」

【真美】
 「うん、ダッシュで戻ろう!」

【雪歩】
 「あーん、待ってよぉ」


 テレビ局の撮影スタッフとバスに乗り込む3人。
 オレはバスに乗らないTVスタッフと共に、マイカーでバスの後ろを走ります。

 もちろん、こげな秘境に来た限りは、春香さんのお家から車を取ってきましたよ。
 もちろん、ガソリン代はすべてテレビ局持ちです。
 もちろん、出発地点は遠い方がいいと聞いて、春香さん宅の最寄り駅を提案したのはオレでございますYO!
 大事なことなので3回言いま(ry

 転んでもタダでは起きません。


【TVディレクター】
 「いや〜573プロさんはこういう仕事を受けてくれるのでありがたいですよ」

【P】
 「いえいえ、関東テレビさんは子供向け番組で水瀬と双海亜美がお世話になっていますからね。私どもとしましては、今後も優先的に出演させていただければと・・・」

【2人】
 「はっはっはっ」

【D】
 「ぶっちゃけ、雪歩さんレギュラーどうでしょう。彼女はおじさん人気高いんですよね。旅番組のレポーター枠空けておきますから」

【P】
 「嬉しいですね。ただ萩原は他局のレギュラーもありますから、拘束の長い仕事だと厳しいかなぁ」

【D】
 「月に一度でもいいんでお願いしますよ。そうだ、雪歩さんがダメな日はやよいちゃん。彼女も食ロケ向きだと思いませんか」

【P】
 「ありがたいですね。高槻は食べ物の好き嫌いは無いですからね、仕事空けて待ってますよ」

【D】
 「そうだ、プロデューサさん。アニメとかは興味があります?」

【P】
 「アニメですか?」

【D】
 「573さんでアニメの仕事に興味ある子がいたら紹介して下さいよ。次の改編で新しく枠を広げる予定なんですよ」

【P】
 「ありがたいですね」


 この手の会話はたいてい社交辞令で、「次も同じスタッフでやりましょう!」みたいな言葉が出ても、いざ番組が始まってみれば平気で別メンバーというのが業界の常識だったりします。

 ですが、好感触かどうかはなんとなく分かるものなのです。
 今回がソレです。
 やっとプロデューサーっぽくなってきた気がしています。


【D】
 「おっと、忘れてた。これは打ち合わせの時にしておくべきだったんですが・・・新しい、スポンサーが付きまして・・・この先に日帰り温泉があるんですが・・・そういうのは・・・」


 おっと、本題はそこですか。
 美味しい話しをいただいた直後だけに断りづらい雰囲気です。
 新しいスポンサーに有名な温泉旅館さんが加わったのは知っていましたが。
 温泉ロケですか・・・もちろん断る理由がありませんとも!


【P】
 「もちろんO.K.だと言わせて下さいよ」

【D】
 「! そう言っていただけると思ってました、ははは。バスタオル巻いての撮影許可はすでにもらってますんで」

【P】
 「さすがですね。もうOA(オンエア=放送)時の編集プロットが出来てるんじゃありませんか」

【D】
 「おだてないで下さいよ、はっはっは」

【2人】
 「わはははは」


 もはや悪代官でございます。
 番組打ち合わせの事をワルダクミと称する業界人がいるのも分かります。

 そんなことは全部すっ飛ばしても温泉ですよ、温泉!
 これは絶対にバスタオルをもらって帰らねば♪
 やよいちゃん、真美ちゃん、雪歩さんの身体を包んだバスタオルですYO!

 オレも包まれてぇ〜〜〜。

 バスタオルは自腹で買い取っちゃいますとも。
 撮影後はこっそり車のトランクに入れるのは決定事項です。


 ・・・


 この後も絶妙な掛け合いを見せた3人は雪歩さんのがんばり(←いろんな意味で)もあって、かなりの高視聴率を獲得する事が出来ました。

 しかも、やよいちゃん、真美ちゃん共にランクアップ!
 3人組ユニット『やよまゆ』として、曲を発表する事も決まりました。

 新曲リリースですよ、やったね♪


8話に続く

2011/12/20 初版

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