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僕の彼女は戦国マニア (3)
P・鴨川 feat.ライターC

 洋館に住んでいたのは脱サラをして、この地に移り住んだ山田さんという初老の男性でした。 今時、脱サラですよ。
 ナイス度胸と言えましょう。
 定年よりもちょい早い依願退職をすれば、どっさり退職金がもらえるバブル期じゃございません。
 一歩、間違えば路頭に迷うという、このご時世に脱サラ!
 お金持ちじゃないですか。

 館のあちこちを探せば10円が落ちているかもしれません。
 3枚ほど見つけたら「もやしー♪」って叫ぶのはお約束です。
 もやしと言えば、やよたんですよ、やよたん。
 僕はやよたんについてはちょいと一家言ありまして…
 まあ、今はやめておきましょう。

 話しを聞けば、赤城山には徳川埋蔵金の伝説があるそうで、発掘を目指しているのだとか。
 埋蔵金の話は僕も子供の頃にテレビで見た記憶がありました。
 身体ごと渇いてしまう危険なコピーライターが、局のお金を湯水のように使って、それっぽいところを片っ端から掘るというすごい番組でした。

 石の扉を見つけたりもしましたが、スタッフが奇妙なアクシデントに遭うのを呪いと称して、2度と掘らなくなったという曰く付きの結末だったような気がします。
 山田さんは快くお手洗いを貸してくれ、お茶まで出してくれました。

「少し道は狭いですが、高速のインターへ抜ける道がありますよ」
「それは助かります」
「ええ。ただ、街灯が無いうえにこの雨だ。危険なので、明日にでも案内をしますよ」
「…しかし」
「今日は泊まっていかれた方がいいと思いますよ」
「それは申し訳ないです」
「いやいや、そのつもりでお勧めしたんですよ。夜の山道は危険ですからね。それに夏場にはペンションとして宿泊客をお迎えしているので、遠慮はなさらないで下さい」

 本当にありがたい話です。
 ホテル代が浮きました。
 明日には道案内付きで、この山道を抜け出す事ができます。

「どうする、むぎむぎ?」
「いまね、山田さんに電話を借りて有給の申請をさせてもらったよ。携帯はアンテナが立たないから」

 トイレから戻ったむぎむぎは、さっぱりとした表情でお茶を飲んでおります。
 溜めろ。
 溜めるが良い。
 むぎむぎの芳醇な麦茶をなぁぁぁぁぁぁ、ケケケケ。

「山田さん、僕もお電話お借りして…」
「どうぞどうぞ、玄関ホールにありますから」

 今時珍しい、年代物の黒電話が置いてありました。
 つーたって、あーた、玄関ホールですよ。
 ウチの玄関なんて、靴を3つ置いたら床が見えなくなります。
 それがホールって!

「のぶちん、お休み取れた?」
「…うん。お休みもらえたよ」
「良かったねえ」
「ずっとね。…もう来なくていいって。あはは」

 コンビニのバイトを首になりました。
 彼女は大学講師で、オイラはフリーター。
 ただでさえ、肩身が狭かったというのに、デートの度にしょっちゅうバイトを休むくらいでクビにしやがって、あのハゲ…。

「養ってあげようか?」
「…」


(4)に続く

2013/01/29 初版

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