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モンスターハンター3RD・SS 〜笑顔の靴下〜 (13)
大和武尊

(とんでもない所に来ちまった・・・)

 ディックスは思った。

 ユクモ村に着いたのは、あれからわずか半日後。
 日も暮れて、そろそろ野宿でもしようかと考えていたところ、村の明かりが見えてきたのだった。
 もうもうと煙る湯気で霞む、村の明かりは幻想的で、雪山に拓いたポッケ村よりも、幾分、開放的な雰囲気だ。

 着いたはいいものの、ちょっとした洗礼を受ける事になる。
 自称最強の門番(実は温泉宿の息子でニート)とやらに止められるは、巨大なハンマーを振り回す鍛冶屋(店先でスミスハンマーを振り回すキ○ガイ)に呼び止められるは、竜人族の村長はもう休んでいるからと、目通りさせられた訓練所の教官(重度のホラ吹き)にはやたらと長い武勇伝を語られるはで、ぐったりしていた。

 こちらが話しかけなければ、我、関せずという村人達だが、話しかけたが最後、旅人が珍しいのか、異様に話が長いのだ。
 人間型の様々な種族が、すでに夜になっている村の中を歩き回っている。
 賑わっていると言っても良いくらいに人通りが多いのは、それだけ送り込まれたハンターが多いという事なのだろう。
 人が集まれば商人も集まる。
 インフラは整備され、治安維持に人が割かれ、活気が増す。
 ユクモ村も例外ではなかった。

 とは言え、すぐに都市化するわけもない。
 村の構成はなかなかにイカレたものだった。
 中央広場までは長い階段があって、名物の温泉までさらに階段がある。
 訓練所や村の住居群へ行くにも階段を登らねばならない。

(湯治に来たい者はそもそも足腰が弱いんじゃないのか?)

 バリアフリーの対極と言える村の道路構成には大きな疑問を感じるところだった。

 ギルドの連絡係や集会所は、温泉施設を兼ねており、ハンターギルドに所属する者は、温泉浴場に通じる家をあてがわれる事になっているらしい。
 ディックスもすぐに自宅を割り当てられた。

 ほとんどのハンターは温泉施設の上部階にある集合住宅に入っているか、村人の住居群の中でも温泉に向かって伸びる通路で繋がっている家に住んでいる。
 ディックスは急な来訪という事と、狩人用の住宅拡充が間に合っていないという理由で、最近まで雑貨商を営んでいたという広場に面した家に連れて来られた。

 中央広場から見ると、看板が出ていないだけで確かに商店そのものだ。
 おまけに中の地階には、商人が置いていった食料などがまだ残っていた。
 部屋の奥は、壁も仕切りも窓もなく、集会浴場を見下ろすことが出来る。

 やろうと思えば覗き放題だが、温泉に人がいれば会話は筒抜けで、やかましい事この上ない。
 そして、この人出だ。
 浴場は常に賑わっている。
 眠れるかどうかも定かではなかった。
 湯気も入り放題で、なんとなく部屋全体が湿っぽかった。
 部屋の中は決して快適ではない。
 不快指数MAXの蒸し暑いライト・サウナだった。


 ・・・


 一通りの荷物を出して、整理した頃、戸の外でガタガタと音が聞こえてきた。
 夜もだいぶ更けてきて、子供はいない時間帯になっている。
 戸は広場に面しているので、誰かしら通るのだろうが、椅子やらテーブルやらを設置しているような音がする。

(露天商か?)

 だが、鎧を擦り合わせるような音までが聞こえてきた。
 軽装防具に特有のかすかな音だったが、それだけに夜間戦用の装備とも考えられる。
 人が多くなってくれば、治安も悪化するのだ。
 周囲がモンスターだらけの村という事で、強盗が闊歩するとは考えにくいが、ハンターが金目の物を持っていると思われているのは確かだ。
 武装している組織的な犯罪集団の可能性も捨てきれない。

 初めて来た村では、誰が危険人物なのか分かりはしないのだ。

 ディックスは武器の保管箱から、46式潜伏重砲Uを引きずり出して、その回転弾倉に12番ゲージのショットシェルを装填し始めた。
 あらかじめパワーバレルに換装してあり、相手が集団である事を考慮して、スラッグではなく散弾のみを込めていく。
 数メートルの距離なら、1発で3〜4人は蜂の巣に出来るだろう。
 元々は、分隊支援にも使われる連射式ヘヴィボウガンだが、今や凶悪なトレンチガンと化していた。

 ジャカッ!

 隠密性のかけらもない物騒な音を立てて、初弾を装填すると、ディックスは戸口へと向かった。
 腰のベルトには、ギラギラと刃を光らせたソルジャーダガーをむき出しで差し、左手には高い煙幕効果を発揮するけむり玉を2つ持っている。

 作戦は決まった。
 まずは状況確認。
 敵対勢力の位置を確認次第、彼我の中央に煙幕を張る。
 取り回しやすい左を向いて散弾をブチ込み、煙を中心にすぐ90度回頭して、さらに発砲。

 ペレットの拡散範囲から、これで前面の標的を一網打尽に出来る。
 誰かの影になっていた、遮蔽物があった、などのアクシデントに対しては接近してソルジャーダガーでトドメを刺す。

 制圧しきれないほどの人数がいた場合には、再び煙幕を張り、自宅へ戻る。
 ここで実包を補充する事になるのだが、散弾では対処し切れない可能性があるので、給弾ベルトで通常弾を玄関に向けて斉射。
 おそらくはこれでカタがつくだろう。
 しかし、弾切れになったところを重装歩兵にでも踏み込まれたらどうするか?

(その時は大樽爆弾でも発破するしかないか・・・多少、広場が広くなっちまうが)

 もはやどちらが危険人物か分からなかった。


(14)に続く

2013/08/13 初版

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